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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

TVキャスターが言葉にこだわる理由~『 キャスターという仕事』国谷裕子氏(2017)

 キャスターという仕事 (岩波新書)

日本のジャーナリズムに新しい風を吹き込んだ“クローズアップ現代”。真摯に、そして果敢に、自分の言葉で世に問いかけ続けてきたキャスターが、二三年にわたる挑戦の日々を語る。(2017)

クローズアップ現代

クローズアップ現代は)VTRリポート、スタジオゲスト、キャスターという三角形で番組を構成するというのが番組の手法だった。目に見えることを現場でVTRに収め、ゲストの見識で立体的に見せ、キャスターである私が視聴者の立場や、ときには同じ専門家でも異なる見解を持つ人の意見をぶつけるという形なのだ。・・・ゲストトークやキャスターコメントを重視した「言葉を大切にする番組」という狙いが、この構成には込められていた。(67ページ)

キャスターとしての準備

週4日の放送ということもあって、私は記者やディレクターのように現場の取材はなかなかできない。このため、様々な資料に当たることで、そのテーマについて自分自身に納得が得られるように、かなりの勉強と準備をした。毎週、木曜日の番組終了後、私は、両手に翌週放送分の資料やVTRをいっぱい詰まった紙袋を持って自宅に帰っていた。(68ページ)

テレビの難しさ

テレビはパワーがあるだけに、一瞬にしてあることを見せてしまう。そこには感情の共有化を促す、一体感を作り出すパワーがある。・・・だからこそ、より多くの視聴者を獲得するために、その力を総動員しがちだ。その一体感が支配するなかで、少数派の意見、異質な意見を伝えるのはとても難しい。(19ページ)

言葉の力

現代社会の複雑な断面を取り上げる〈クローズアップ現代〉のキャスターにとって、社会のなかで起きている新しい出来事を新しい言葉により定義して使用したり、使い慣れた言葉に新しい意味を与えることで、多様化している視聴者に共通の認識の場を提供していくことは、重要でとても大切な役割だ。(72ページ)

言葉の力~ウーマノミクス

2010年から、〈クローズアップ現代〉では、女性の働き方についてかなり意図的に取り上げ、2011年1月11日、新年最初の放送は、73分に拡大した「ウーマノミクスが日本を変える」という番組だった。・・・女性が男性とともに同じように活躍できるようになれば、経済の競争力も高まり、経済成長も期待できるということを端的に表す言葉だ。(73ページ)

言葉の力~ねじれ国会

数年前、「ねじれ国会」という言葉がメディアで頻繁に使われていた。・・・問題なのは、「ねじれ」という言葉が、やはりある文脈のなかに置かれれば、この事態がなにか正常でない事態、是正すべき事態を意味する言葉として流通してしまうことなのだ。・・・「ねじれ」状態を解消することが正常化すること、つまり衆議院と同じ政党が多数派になることが「正常」であるとの見方を流通させることにつながったとは言えないだろうか。(103ページ)

 

キャスターという仕事

テレビは映像を中心に組み立てられる。テレビは強力であるが故に現状を強化していく。それではテレビに映らない、映像にならない世界をどうやって伝達していくのか?それは新しい概念であり、現状では語られることのできないこと、これらは映像ではなく言葉によってでしか伝えられない。

国谷氏は映像、ゲスト、そしてキャスターという3つの要素を23年間勤めてきた。キャスターを務めるにあたって、国谷氏は様々な資料を読み込み全体を俯瞰しようと努力をした。キャスターというプロフェッショナルの奥行を教えてくれた。

蛇足

キャスターは和製英語、英語ではアンカー

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