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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

人間にしかできないことは何か?~『人工知能の核心』羽生善治氏(2017)

 人工知能の核心 (NHK出版新書)

羽生氏は棋士、 電王戦を中心としたコンピュータ将棋と人間の棋士の間で起きている様々な事象が、今後、人口知能が社会で応用されていくときに想定される事態を先取りしているように思えることです。(35ページ)

 

人口知能の特徴~ブラックボックス

本質的には人間には理解できないような答えを人口知能が提示してくる場合も考えられます。・・・抽象的な世界なので気づかれにくいですが、人間の身体が物理的な制約を受けるように、思考にも制約はあるのではないでしょうか。(37ページ)

人口知能には恐怖心がない

棋士がしばしは口にする感想に、「将棋ソフトの指す手には、人間から見ると、違和感を覚える手が多い」というものがあります。・・・人間の持つような盲点がない分、自由に手を選べるということでもあるでしょう。・・・・特に人口知能ロボットのような事例を考えてみると、「恐怖」を覚えないのは社会生活を営む上で、そもそも困難を来すように思います。(39ページ)

人口知能が広げる人間の“美意識”

私たち棋士が現在見ているのは、将棋のほんの一部の可能性で、全体からすればとても狭い領域にすぎません。そのなかで私たちは、自分たちの経験から培った「美意識」を働かせて、・・・「直観」や「大局観」で感じているだけですから、自分たちの知らない世界に十分に「良い手」が存在している可能性はあるのです。・・・そして(美意識というフィルターから盲点となっている)そこにスポットライトを当てただけでも、将棋ソフトや人口知能の意義は非常に大きいと言えるのではないかと、私は考えています。(82ページ)

人口知能にできないこと

人口知能は、データなしに学習できない存在だということです。とすれば、データが存在しない、未来の領域に挑戦していくことは、人間にとっても人口知能にとっても、大きな意味を持つと思います。(216ページ)

棋士の未来

棋士が将棋に強くなるには、将棋ソフトの強さを深いところで理解すること、さらにはプログラミングの素養すら基礎体力として求められるようになる時代も遠くないかもしれません。(213ページ)

人口知能の核心~人間にしかできないことは何か?

本書により将棋の世界が人口知能の影響を強く受けていることを知る。人口知能と付き合う棋士は何を感じているのか?人口知能の思考回路を理解することはできず、人間の持つ盲点を考慮しない不気味さを持つ。一方でこれらが確実に将棋の可能性を広げている。

羽生氏はデータの存在しない分野、人口知能の分析できない領域に挑戦することの意義を説く。それには人口知能の力を借りて、人口知能では分析できるが人間が行なってこなかった領域に踏み込むことも含まれる。

今後我々の生活は将棋の世界と同様、人口知能と共存していくことになる。そこで必要なのは人口知能を活用することによって人間の盲点を克服すること、人口知能の存在しない未知の領域に挑戦すること、この二つである。

羽生氏は棋士としてこの二つに挑戦しようとしている。

蛇足

人口知能に出来ないこと、人口知能の盲点を自ら克服すること

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