毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

会社の本質とは何か?~『リモートチームでうまくいく マネジメントの〝常識〟を変える新しいワークスタイル』倉貫 義人氏(2015)

リモートチームでうまくいく マネジメントの〝常識〟を変える新しいワークスタイル

オフィスに通勤しなくても働くことのできる「リモートワーク」。(2015)

 


会社やチームに所属する人たちでも、好きな場所に住んで、通勤しないでも働けるようなワークスタイルです。・・・リモートチームを取り入れることで、会社に所属することで得られる安定した仕事と、切磋琢磨しつつ助け合える仲間の存在、そして自分の好きな場所で働ける自由の両立を実現することができます。(はじめに、より)

セルフマネジメント~全員が管理職

リモートに限らず、チームとして高い生産性を発揮するためには、セルフマネジメントができるメンバーを揃えることが重要です。一から十まですべて指示して、逐一管理しなければならないのでは、経営にスピード感など出せるわけがありません。チームの目標を理解した上で、各自が自分で現場の判断を行うことができれば、おのずと生産性は高まります。(119ページ)

採用には時間とコストをかける

私たちの会社では、中途採用の場合、応募から採用まで半年ほどの期間をかけて選考を行います。「スキルがあるかどうか」といった判断もありますが、それに加えて「パーソナリティやカルチャーが合うかどうか」を確認するために時間をかけています。その選考の期間に何度か面談もしますが、それよりも「作文」を書いて貰って判断材料にします。・・・その人の人間性の本質を見るために、時間をかけても構わないので文章を書いてもらい、その内容で判断します。(117ページ)

リモートチームの社長の仕事とは

セルフマネジメントのチームで経営者やマネージャーが腕をふるうべきは、細かい作業や勤怠・進捗の管理などではなく、チームが目指す方向性やビジョン、価値観などを社員に伝えていくことです。・・・私たちの会社で取り組んでいるのは、社長である私自身が毎朝5分間の音声メッセージを録音してメンバーに配信することです。(129ページ)

会社の本質とは?

多くの日本人にとって「会社」というものをイメージするとき、オフィスを思い浮かべることでしょう。しかし、私たちにとっての会社とは、一緒に働く仲間であり、仲間とともにする仕事をすることをイメージするようになりました。・・・会社と聞いて思い浮かべられる仲間がいることこそが、本来の「会社」というものだったのではないか、と思えてきます。(207ページ)

 

リモートチームでうまくいく

リモートチームとは物理的な拠点に縛られないチームで仕事を進めることである。一人で独立しクラウドソーシングするのとは違い、あくまで会社=チームで進める。

「人は社会の中で生きる動物で、ずっと一人で働くというのは辛いものです。やはり誰かと一緒に協働していうことに楽しみを覚えるものです。」(おわりに、より)

そもそも会社とはチームを組むことでより効率よく仕事をするための仕組みである。一人で仕事に取り組むのには限界がある。チームを組むことで1+1=nが生じる。実際の会社がリモートチームを取り入れるには大きな変更が必要となる。倉貫氏は様々なITを駆使し、コミュニケーションにも工夫を凝らす。私はこの実例から会社の本質を改めて考えさせられた。会社はチームだから上手く行く。チームを支えるにはビジョンが必要である。チームのトップの役割はそのビジョンを具体化してさし示すことがその本質である。トップはそれを忘れて、日常に逃げ込んでいないか?本書は会社の原点に気づかさせてくれる。

蛇足

人間はチーム作業に喜びを見出す生き物である。

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