毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

未来の記憶を作るには、、~『シナリオ・シンキング―不確実な未来への「構え」を創る思考法』西村 行功氏(2003)

シナリオ・シンキング―不確実な未来への「構え」を創る思考法

基礎となるシナリオ思考法、すなわちクリエイティブ・シンキングとロジカル・シンキングを統合した思考法が具体的によくわかる。(2003)

 

未来は不確実

環境は常に変化を続け、時に大きく不連続に動く。戦略の寿命は短くなり、当初考えていなかったような戦略も採用せざるをえない。しかも、その戦略を短期間のうちに組織の人々をうまく巻き込みつつ遂行・完了し、次の変化に備える必要がある。(7ページ)

未来は帰納的であり、意思決定の合理性は限定的である

帰納的思考法とは)過去に見られなかった新しい特徴の存在に気づき、過去・現在と不連続な「未来の文脈(コンテクスト)」をどう見つけ出すかということだ。・・・(限定的合理性とは)「どうやって経験則的な罠-単純化されたルール‐に陥らずに、限定的合理性の『限定』の枠を拡大し続けられるか」ということである。(79ページ)

未来の記憶を作る

この「記憶」というポイントは重要である。人間は記憶に基づいて意思決定を行う。通常は、過去の記憶である。しかし、不確実性が高まり、未来が不連続であれば、この記憶はかえって足枷となる。・・・不連続な未来を記憶することで、過去の体験に基づかない意思決定を組織として行っていく必要がある。・・・実際のコンサルティング経験から言って、シナリオが有効に「組織の記憶」として使える時のシナリオ数は3~6程度である。・・・重要なのは、「精緻化された数多くのシナリオ」ではなく「シンプルで不確実性が最大限織り込まれた、十分幅のあるシナリオ」なのである。(29ページ)

シナリオ・シンキング~不確実な未来を「構え」を作る思考法

西村氏はシナリオ・シンキングとは「未来の記憶」を作ることであると表現する。インプレッシブな表現である。過去の記憶に囚われていたのでは未来は限定的になってしまう。未来のシナリオ、それも成りたい会社、成りたい自分を想定してシナリオを作る。作ったシナリオを明確に記憶に焼き付ければそれは過去の記憶と区別がつかない。未来の記憶が、我々の行動を後押ししてくれる。

本書はシナリオ・シンキングを事業計画へ導入するための実務書である。本書は実務書の範疇を超えて、成りたい自分になれる方法を教えてくれている。

未来の記憶を作る、とはリアリティのあるシナリオを作りそれを自分の記憶にしっかい焼き付けておくことである。

脳みそは、その記憶を過去本当にあったことか、作られたシナリオなのか、区別がつかない。我々は未来の記憶を参考に行動することができる。

蛇足

未来のシナリオに必要なことはリアリティ

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