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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

人はなぜコレクターになるのか?~『 現代美術コレクター』高橋龍太郎氏(2016)

美術 プロフェッショナル

 現代美術コレクター (講談社現代新書)

 高橋氏は精神科医、1997年から現代美術の収集を始め、全国でコレクション展を毎年開催するほどの重要なコレクションを築き上げる。(2016)

なぜ人は美を求めるのか?

人類は類的存在だと言われている。これは単独でしか生きていけないことを指し示している。類的存在としてお互いの理解を深めるためにミラーニューロンが発達したと考えるのは自然だろう。多分私たちが持っている美という概念も、同じように類似の存在としての私たちの祖先が、ミラーニューロンによって経験値を集積させてきた結果なのではないか。

しかし人間の大脳は一方で、奇形的にまで発達を遂げた結果、単純な経験で積み重ねてきた一般的な均衡美だけでは、満足できなくなってしまう。・・・しかし、異なる考えを持ち込めば、新しい美とともに、それを獲得した個体が生き残ることになる。(48ページ)

アートを買うということ

美女を見かけた時、声をかけない人と、声をかける人はほんの小さな差に過ぎない。アートを買うのは、それだけの差。声をかけるかかけないかの差に過ぎない。

だが、声をかけた後、どうなっていくのか想像してほしい。・・・購入して、いよいよ家にアートがやってきた時のことを考えてみよう。ちょうど美女とデートができた気分と同じだ。やってきたアートは、美術館のようにガラスの箱に入っておらず、そのままの姿で輝いている。そして、他の人の視線を意識することなく、自分だけのものとなる期待感が募る。・・・美術館で見る絵は、ガラスの標本箱の中にいる蝶にすぎない。しかし、目の前にある自分が手に入れたアートはまるで、生きた蝶のように、まばゆい。(109ページ)

アートをコレクションするということ

一度アートをコレクションすれば、その美は維持されるばかりか、年とともにその美しさや素晴らしさは増していく。自分が老いていくことが悲しくなるくらい、その美しさは増していく。永遠の美しさを手元に置いておくことができる。(173ページ)

f:id:kocho-3:20170125090407p:plainhttp://www.takahashi-collection.com/

 

現代美術コレクター

進化の結果肥大化した脳は常に過剰と新しさを求める。その本能に従った結果、高橋氏は日本の現代アートを2500点以上コレクションすることになる。

現代美術を買う、ということは万人向けの行動ではない。私は「心を全裸状態にして欲しいという衝動に身を委ねる」という行動を肯定したい。対象は何であれそれが人間の性質なのだと気づく。

高橋氏は本書の目的を「私の願いは、皆さまに一日でも早く、このトップクラスのアートを手に入れる魅力を知っていただき、その快楽に身を委ねてもらいたいということに尽きる。(6ページ)と記す。個人の欲望を文章にした高橋氏の勇気に感謝したい。

蛇足

何をコレクションしようか?

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