毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

オリジナルを追求することに失敗はない~『 ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』A・グラント氏(2016)

 ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代【2016年Kindle三笠書房ランキングベスト10書籍】

グラント氏は組織心理学者、「独創性」は、与えられるものではない。すでにあなたの中に存在するのだ――(2016)

 

オリジナルとは

私のいう「オリジナリティ」とは、ある特定の分野において、その分野の改善に役立つアイデアを導入し、発展させることを意味する。

オリジナリティそのものは、創造性(クリエイティビティ)に端を発する。まず何より、斬新で実用的なコンセプトを考えだすことだ。それだけでは終わらない。オリジナルな人とは「みずからのビジョンを率先し実現させていく人」である。(20ページ)

ガリレオの創造性はどこから生まれたのか

ガリレオは月に山があるという驚異的な発見をしたが、ガリレオの使っていた望遠鏡にはその発見ができるような拡大率は備わっていなかった。拡大することで発見したのではなく、月の明るい部分と暗い部分を分けているジグザグの模様があることに気づいたのだ。・・・ガリレオは物理学と天文学の豊かな知見があったが、絵画と素描にも造詣が深かった。光と影の表現に重点を置いた“明暗法”という技法を学んでいたおかげで、ガリレオはほかの天文学者には見えていなかった「月の山」を見つけることができた。(88ページ)

オリジナルでいることの幸せ

朝起きると、世界をよりよくしたいという欲求と、そのままの世界を楽しみたいという欲求の板挟みになる」と、作家のEBホワイトは書いている。・・・しかしオリジナルな人たちは、あえて苦しい戦いを選び、理想の世界を実現しようと取り組んでいる。人生を向上させ、より多くの自由を得るために行動することによって、一時的に快楽を捨て、みずからの幸福をあと回しにしているかもしれない。

しかし長い目で見ると、彼らは世界をもっと素晴らしい場所にするチャンスを手にするだろう。・・・「オリジナルでいる」ことは、幸せにいたる道としては、けっして簡単なものではない。しかし、それを追い求めることの幸せは何にも代えがたいのである。(368ページ)

ORIGINAL~誰もが「人と違うこと」ができる時代

ガリレオ以外にも多くの天文学者が月を観察していたが、山の存在に気づくことはなかった。ガリレオが他の天文学者と違ったには絵画と素描など芸術への造詣を持っていたことである。

芸術の素質が重要である、と言いたいのではなく様々なバックグランドを持つこと自身から人は独自の創造性を秘めていると理解する。同じ経験をしても、人は違った感想を持つ。創造性というのは特定の人だけに与えられたものではなく全員に備わっていることになる。しかし、創造性を行動に移す人は限られた人である。それは行動しないからである。

我々はそもそも世界をまるごと愉しむことができる。オリジナルに挑戦すること、人と違ったことを行う人は100%苦労をすることになる。しかし、著者のグラント氏は苦労それ自体が楽しみになると言う。だとすれば我々は失敗してしまう可能性はゼロ、ということになる。

「考えた上で覚悟を決めた少数派の市民が世界を変えることができることを、決して疑ってはならない。実際、いつも、それしかなかったのだ。」byマーガレット・ミード(人類学者)

蛇足

人と違うこと、それは非常識ということ

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