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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

探検家の資質、それは世に問う勇気~『 日常を探検に変える――ナチュラル・エクスプローラーのすすめ』T・グーリー氏(2016)

プロフェッショナル

 日常を探検に変える――ナチュラル・エクスプローラーのすすめ

グーリー氏は空と海で大西洋単独横断をした経験を持つ探検家、 古の探検家たちは道を行く途上で何に注意を払っていたのか、その視点の先をたどりつつ、身近な自然のなかで意識を開く技法を説く。 (2016)

失われた冒険家

探検の、物理的な意味での目標地点は次々と着実に征服されてきた。したがって、この分野でさらに刻苦勉励しても、人類が得られる報いが先細りしつつあるのは明白になってきている。・・・100年前、シャクルトンエンデュランス号で成し遂げた偉業依頼、極限状態で人類がどこまでできるかを、あの旅以上によく教えてくれるような冒険行はほとんどなかった。(20ページ)

これからの冒険家

誰もがめったに踏み込まないような場所で自分を苛める斬新な方法を見つけた人よりも、一本の野草がこの宇宙でどんな役割を果たしていて、私たちの思考や感情にいかなる作用を及ぼしているのかを理解するすべを教えてくれる人のほうが、人類に資するところは大きい。将来的に探検家はこのふたつのタイプのどちらかとなると思われるが、知り得たことを地道に伝え、分かち合うことに喜びを見出すのは、一方のタイプだけだろう。(21ページ)

フンボルト

南アフリカを踏査したドイツの偉大な探検家アレクサンダー・フンボルトは、2世紀前、自然の世界との交歓に喜びを見出した人物で、新たな探検家像にひとつの光明を与えてくれる。・・・チャールズ・ダーウィンは、フンボルトの旅行記『新大陸赤道地方紀行』を座右の書にして航海にも携えていき、1行1行暗記するほどだったという。(22ページ)

フンボルトは、人間の知識の法典に新たな何かを書き加えられた旅人は幸運だと考えていた。・・・「現代の文明は、この文明がどれだけわたしたちの思考の幅を広げ、物理世界と知的世界の関連を感得させてくれるかにによって特徴づけられている」と主張したのだ、。(393ページ)

探検と芸術

探検家も芸術家も、どちらも因習に背を向け、「普通の生活」は耐えがたいほど息苦しいと感じる者たちだ。・・・探検の世界と芸術の世界とが合体することで、旅人の意識はいやがうえにも高まり、そこから新たな探検の黄金時代が生まれつつある。この新しい時代には、肉体の極限に挑むことも虚飾も必要ない。ただ意識を開いて、誠実に表現することだけが求められる。(393ページ)

日常を探検に変える

ナチュナル・エクスプローラーとは「すでに知りつくされた世界で何らかの発見をして、何らかの表現手段を用いてその発見を世に知らしめる」(23ページ)ことである。

グーリー氏は著名な探検家35名の著書から引用し、彼らが何を体験し、何を考え、何を記録に残してきたかを説明する。これら前例から、日常のありふれた風景にも多くの視点が隠されていることに気づかされる。

ダーウィンは先駆者フンボルトを参考に航海記を書いた。そしてそこで得た情報を抽象化して進化論に辿りつく。ダーウィンは人類を抽象思考の高みまで案内してくれていた。

グーリー氏はセザンヌが自宅のアトリエから見えるサント=ヴィクトワールを何度も描いたことにも言及する。セザンヌは静物画においてはありふれたリンゴを題材に選んだ。日常の風景からどれだけ新しい表現ができるか挑戦していた。セザンヌは絵画の世界を探検していたのである。

探検者とは何らかの発見をし、それを世に問う人である。冒険、芸術、スポーツ、ビジネス、あらゆるジャンルで探検者が存在していた。

蛇足

探検に必要なもの、世に問う勇気

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