毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

あなたはどれだけ一つのことを考え続けられるか?~『マーケティングのすゝめ』F・コトラー氏×高岡浩三氏(2016)

マーケティングのすゝめ (中公新書ラクレ 567)

コトラー氏はマーケティングの研究者、高岡氏は日本ネスレの代表、 商品に対する消費者(顧客)の意識的な欲望だけでなく無意識な思考も追及することが21世紀型のマーケティング重要なテーマである。

 

 

イノベーションとは?

顧客が認識していない問題の解決から生まれる成果。この場合の成果とは、製品、サービス、ビジネスモデルを指す。顧客が認識していない問題からしかイノベーションは生まれないため、顧客が認識していない問題を「発見」することが何よりも重要になる(154ページ)

顧客が認識していない問題

現時点では顧客が問題として認知していないものの、第三者から指摘されると「自分では気付かなかったけれど、それが解決されればたいへん嬉しい」と気付くような問題を指す。これは、日本最大のイノベーションとも言えるソニーウォークマンを例に説明すると容易に理解することができると思う。・・・(ウォークマンが登場するまで)顧客に「身軽に音楽を持ち運びできない」という問題意識はなかった。そこへ、小型化・軽量化されたステレオカセットプレーヤー、ウォークマンが登場した。・・・「そう言えば、身軽に音楽を持ち運びできないのは不便だったよね」,これこそ、顧客が認識していない問題である。(92ページ)

どうやって認識していない問題を見つけ出すか?

顧客がなぜそのような行動をするのか、どのように意思決定するのか「深く考える」ことである。顧客の気付いていない問題は、昔からの習慣や当たり前の行為といった中に潜んでいると思われるからだ。「当たり前のなぜ」について深く考えることで、顧客の気付いていない問題を見つける能力が高められると思う。・・・わたしは、常に考えている。お風呂に入っても、トイレに入っても、もちろん会社で仕事をしていても。商談などで人と話をしているときも常に考えている。むしろ、そんなときこそアイデアが出てくることもある。・・・しかし、基本的には自分ひとりで考えることが重要だ。(194ページ)

マーケティングのすゝめ

ネスレの主力事業であるコーヒー分野で、1杯づつ淹れることができるコーヒーマシンで業務拡大を図っている。大家族から核家族への移行、職場での福利厚生経費削減など、の環境が変化していた。一人一人が飲みたいときに安価(30円~)で淹れたてのコーヒーを飲める、という「顧客が認識していない問題」を解決した。

日本は80年代中盤まで、優秀で安価な製品、で世界を席巻した。日本企業はその成功に留まり、世界の、顧客の、競合の変化に目をつぶりマーケティングをしてこなかったと本書は指摘する。「良いものを作れば売れる」に依存しすぎていた。

本書では「顧客が認識していない問題」を解決することがイノベーションである、と定義する。それは顧客の習慣、ルーティンの中にあり、イノベーターはこれを考え続けることが必要である、と説く。

本人が認識していない問題を見つけること、これこそがマーケテインングの本来の姿だと言う。難しい課題に挑戦するからこそ、価値が生まれる。

蛇足

一つのことをどれだけ考え続けられるか?

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