毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

アンシャン・レジームとは債権者のこと~『日本の今の問題は、すでに{世界史}が解決している。 』宇山卓栄氏(2015)

日本の今の問題は、すでに{世界史}が解決している。

宇山氏は予備校で世界史を担当、赤字国債を初め今日の問題は 「世界史」の中で繰り返し登場してきたテーマでもある。(2015)

 

 

 

1789年フランス革命前夜

18世紀末に起こったフランス革命は、国家財政が危機瀕したことから始まりました。当時のフランスの借金は45億リーブルで、それに対し年間税収は5億リーブル。税収の9年分の借金があったことになります。(48ページ)

当時のブルボン王朝は国債・紙幣の乱発を繰り返し、激しいインフレに見舞われて、さらに国民生活を圧迫しました。・・・いっこうに解決しないインフレと深刻な不況に、庶民は怒りを爆発させて、1789年、バスティーユ牢獄を襲撃し、フランス革命は始まります。(52ページ)

ジャコバン派は債権者と債務者を

(ブルボン王朝が発行した国債を買い支えていた債権者たちであった)富裕層中心の議会は、(国債のデフォルトを恐れて)何一つ有効な多死悪を打ち出すことができず、信頼を失い、政権を追われました。代わって、民衆・貧困層を代表するジャコバン派という派閥が台頭し、革命後期の議会を形成します。ジャコバン派富裕層と違い、王政への債権のない者たちで、王政がデフォルトしても、痛くも痒くもありません。ジャコバン派は、財政赤字の大問題を一気に終わらせるべく、国王ルイ16世マリー・アントワネットを処刑し、200年続いたブルボン王朝を崩壊させました。ブルボン王朝を終わらせることで、デフォルト宣言をしたのです。・・・(貸付金を回収できずに)抵抗する貴族やブルジョワなどの富裕層をギロチンで処刑しました。フランスの財政赤字の大問題は、債務者(王)と債権者(富裕層)らが断頭台の梅雨と消えうせ、消滅しました。(54ページ)

経済史におけるフランス革命の意味

フランスの王政とアンシャン・レジームが崩壊する過程で、封建的諸特権が撤廃されて近代的所有権が確立される一方、アッシニア紙幣をめぐる大混乱にも発展した。

旧体制の債務を償還するための土地債券であったアッシニアは、甘い見通しのもとに紙幣化され、無計画な増刷、亡命貴族による貴金属の持ち出し、戦争によって必需品を購入するために正貨が国外に大量に流出し、国内でインフレはコントロール不能に陥った。(Wiki

債権債務が同時に消えるとき

債権者(国王)と債務者(富裕層アンシャン・レジーム)が同時に消滅するとどうなるか?

国王と富裕層以外の国債を保有していないジャコバン派は困らない。国債の償還のために租税を負担していたジャコバン派(最終的債務者)にとって、租税が国債償還に充当されなくなり社会に再投資されれば喜ばしいことになる。

フランス革命とは、ジャコバン派が、暴力的に債権・債務を一掃させた”革命”であった。

蛇足

アンシャン・レジームとは債権者のこと

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