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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうして金融業はレバレッジを効かせるのか?~『投資される経営 売買(うりかい)される経営』中神康議氏(2016)

 投資される経営 売買(うりかい)される経営

中神氏は投資会社を経営、 長期投資される経営と短期売買される経営の分岐点とはなにか?(2016)

 

株式投資は付加価値が薄い

上場企業に投資する事業とは、つまるところ誰でもが買える上場株式というものを他の人と同じ値段で買い、他の人と同じ値段で売る営みです。他の業界にたとえると、全国どこでも定価で販売されているナショナルブランド製品だけを扱っている卸売業者のようなものかもしれません。(19ページ)

普通の卸売業者から大量仕入によってバイイングパワーを効かせるなど、様々な経営上の工夫を凝らすことができます。・・・卸売業者がお得意様を持つように、売り先を選んで有利に売ることもできません。株式という“原材料”の購入では何ら交渉力を持たず、また、仕入れた原材料に何の加工・工夫も施すことなく、一定期間後に売るのが仕事なのです。

経済学でいう「プライステーカー価格受容者)」の究極の姿といってもよいでしょう。

金融は儲かるか?

金融業はレバレッジが効くから儲かる」とはよく言われることですが、私からすると論理が逆転しています。少人数で大きな金額を動かさないと、まるで儲からない商売だからレバレッジをかける、かけなければ成り立たない。それが付加価値の薄い投資家の「宿命」だということなのです。(21ページ)

長期投資のよりどころ

私は最後までブレない行動をとるためには、「感情」こそが大事だと考えています。環境は変わります。想定は時として簡単にひっくり返されます。一生懸命考えた「納得性の高い論理、合理的だと思われた論理」などというものは、環境変化によって想定以上に容易にひっくり返ってしまうことがあるのです。しかし(投資先の経営者という)ヒトに対する感情、「この人が好き、この人の自己規律が好き、だからこの人の経営に賭けたい」という感情は、少々の環境変化にはびくともしません。(101ページ)

バリュー投資

バリュー投資は成長よりも、企業の根源的価値に注目した投資戦略です。「割安株投資」とも表現され、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった表面的な指標が低い企業に投資するスタイルと捉えられることも多いのですが、必ずしもそうではありません。「バリュー」という言葉が「価値」を意味するとおり、企業の価値を見極めて投資する戦略で、価値と比べて株価が割安になったら投資を行うという手法です。・・・長期投資家を指向するのは、バリュー投資家が多いように思います。こういう投資家は、20年以上もずっと持ち続けるバリュー投資家もいます。(29ページ)

投資される経営、売買される経営 

中神氏は「上場企業への厳選長期エンゲージメント投資」を標榜する投資顧問会社を経営、長期バリュー投資を実践している。

1960年から2004年のデータによれば3年に1回以上の頻度で最高益を更新できた企業はわずか128社で一部上場企業約1000社の12%しかないという。日本企業は長期投資に見合うだけのパフォーマンスを上げている上場企業はごくわずか、ということになる。

10年単位で事業を見れば、企業にとって想像すらしない環境悪化も考えられる。その時の最後の拠り所は経営者であるという。長期投資とは、投資される経営者が選び取った経営環境に投資をすること、と言える。

本書で「成功とは、いいと思うものを得ること、幸福とは、得たものをいいと思うこと」(214ページ)、トップが何をいいと思うか、が大切である。

蛇足

 経営者に比べ、投資家のできることは圧倒的に少ない

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