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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

単純なバラマキが一番効率的!ということ~『ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか』原田泰氏(2015)

 ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか (中公新書)

 原田氏は経済官僚出身、単純に考えてみよう。お金がない人を助けるにはお金を配ればよいのではないか。(2015)

 

ベーシックインカム(BI)とは

貧しいことはお金のないことである。であるなら、政府が貧しい人に直接補助をすればよいのではないだろうか。政府が、ある一定の額の基本所得ベーシックインカムをすべての人々に渡せばよいのではないだろうか。これがもっとも確実に貧困を解消する方法である。(位置519)

原田氏のBIモデル=自分の収入×0.7+BI 84万円

・20歳以上の国民は月7万円、20歳以下の国民は月3万円のBIを受け取る

所得税は一律30%

・年間96.3兆円の予算が必要となるが、30%の課税と老齢基礎年金(16.6兆円)、子ども手当(1.8兆円)、雇用保険(1.5兆円)の合計19.9兆円の廃止で賄えると試算する。

BIは移民を制限する

BIは移民を制限することになる。・・・福祉国家は、移民を制約する国家であることを、むしろあらかじめ明らかにしておくべきだ。・・・BIはすべての国民に無条件で与えらるものである。しかし、無条件で与えられるものであれば、なおさら、その国民の範囲を限定せざるをえないものとなるだろう。(位置1766)

BIは夢追い人を増やす

BIを前提に、ミュージシャン、アーティスト、アスリート、哲学者、詩人になる夢を追う若者が増大するという可能性もある。・・・貧困を消滅させるためのBIが、青春彷徨と文化への貢献を増大させる側面を持つことはむしろ好ましいのではないだろうか。・・・BIは、人々のあらゆる試みに、それが素晴らしいものであれ、客観的には愚行にすぎないものであれ、最低限の報酬を払うことでもある。私は悪くないことだと思う。(位置1813)

国家は貧困問題を解決できるか

会社ではなくて、国家が、社会の安心を直接保障すべきであり、貧困そのものも解消すべきである。国家は、すでに、そのような力を持っている。現在、国家がなしているさまざまな業務をBIの支給に置き換えれば、国家は貧困を解消することができる。資本主義の矯正をもっとも効率的に行えるのがバラマキであり、究極のバラマキとしてのBIである。・・・現在の(日本の)雇用維持政策、福祉政策の非効率、寛大すぎる生活保護制度を改めれば、すべての人々に最低限の健康で文化的な生活を保障することができる。(位置2050)

日本は貧困問題を解決していない

本書によれば日本の貧困世帯は国民の13%、生活保護支給率は1.6%、失業率は5%である。この数字から分かることは日本の政策は貧国を減らしていないことである。失業率が5%で貧困世帯が13%存在するということはワーキングプアが多数居ることを示す。資本主義は働いている人に貧困に至らない賃金を支払っていないのである。

原田氏は貧困を従来の制作で変えることはできないと考える。最低賃金制度は統計から雇用を減らすだけであり、生活保護政策は支給水準が高すぎるが支給すべき人をカバーしきれていない。一言で言えば雇用対策は非効率なのである。

原田氏は、BIは予算の点からも十分達成可能であるという。経済官僚出身の原田氏の検証過程は実務的に積み上げられたものである。本書の最大の功績はBIを現実の政策としての実行可能性を立証したことである。

それではBIが実現したときどうなるのか?私も夢追い人が増えることはプラスであるという意見に賛成する。やりたいことを追求できる社会が悪いはずがない。

気になったのが移民の問題である。BIに限らず福祉国家は移民を制限せざるを得ない。地球上で日本だけがBIを実現してしまっていいのであろうか?肯定的に表現すれば日本が世界に先駆け実験することである。否定的に考えれば近隣諸国から感情的反発を招かないか?

視点を変えて、4人家族で月20万円、年間240万円のBIがあった自分ならどうするか?

失業、老後による貧困から解放された時、何を思うか?熟考するに値するテーマである。

蛇足

バラマキから不平等は生まれない

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