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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

世界を、自分の基準でしか見ていないのではないか?~『 ポスト西洋世界はどこに向かうのか: 「多様な近代」への大転換』Cカプチャン氏(2016)

 ポスト西洋世界はどこに向かうのか: 「多様な近代」への大転換

カプチャン氏は米国民主党に影響力を持つ国際政治学の研究家、はじめて、「誰のものでもない世界」が到来している。(2016)

 

 ポスト西洋社会

こんにち、われわれが目撃しているのは、世界が西洋モデルに収斂していく流れではなく、反対に、パワーの分散と政治の多様化である。・・・1500~1800年の間に、世界のパワーの中心はアジアと地中海沿岸からヨーロッパへ移り、さらに19世紀が終わる頃には北アメリカへ移った。それららというもの、西洋は自らのパワーと意思によりグローバル化した世界を支え、ずっと歴史の最先端を歩んできた。しかし、西洋の勃興は時代と場所の偶然の産物であり、いまや世界は次のステージに進みつつある。(4ページ)

西洋の勃興

ヨーロッパが目覚ましい勃興を遂げたのは、ヨーロッパ自身が抱えていた政治面での弱点のおかげだった。・・・神聖ローマ帝国は形式的には962年から19世紀初頭まで存在したが、君主、ローマ教皇、地方の宗教指導者、貴族、自律的な封建制度の間で権力が広く分散しており、帝国支配は当初から分権的なものだった。皇帝、教会、貴族がすべて権力をめぐって競い合い、そして、競争によって新しいアクターが参入できる政治空間が広がったのである。新しいアクターとは、商人や手工業者など初期の中産階級に属する人々である。(19ページ)

ポスト西洋主義は非西洋型?

問題は、西洋の重要な特徴である自由民主主義、産業資本主義、世俗ナショナリズムが、近代化を進める国々で模倣されていないことである。(10ページ)

欧米は中国をどう見ているのか?

中国型一党支配には明白な強みがある。その最たるものは、指導者が面倒な民主的プロセスに邪魔されずに政策決定できることである。・・・西洋民主主義諸国の経済成長が鈍化し、有権者が分裂して不満を抱いている時代には、このようなトップダウン型の統治方法の強みが際立ってくる。(125ページ)

ポスト西洋社会

こんにち、われわれが目撃しているのは、世界が西洋モデルに収斂していく流れではなく、反対に、パワーの分散と政治の多様化である。・・・世界秩序が新しく現れてくるとすれば、それは多様な政治文化と、国内・国際秩序についての競合するいくつかの概念が混ざり合ってできあがるものだろう。(5ページ)

ポスト西洋世界はどこに向かうのか?

本書は投資銀行ゴールドマンサックスの予測を引用し、2050年経済大国トップ5を、中国、アメリカ、インド、ブラジル、ロシアと指摘する。西洋社会からはアメリカしか入らない。西洋の人口は地球全体の20%を占めるに過ぎないことを考えれば当然の予測ではある。

多極化と言われて久しい。西洋世界においては冷静に西洋社会が世界の覇権を握り続けることが不可能であること、そして新しい秩序は見えていないこと、を指摘する。そして西洋社会に必要なのは「西洋のパワーから抜け出そうとする非西洋の新興勢力を受け入れる」ことと指摘する。

世界の国々を、自由民主主義、産業資本主義、世俗ナショナリズムによる西洋型政治システムを単一の基準として考えることはもはや無理がある。しかしまた非西洋型政治システムの中から次の成功モデルが生まれるか、もまた不透明である。

蛇足

本書も多様な見解の一つ

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