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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

「ないものは、10年あれば作れる~『ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸---- メーヴェが飛ぶまでの10年間』八谷和彦氏(2013)

ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸---- メーヴェが飛ぶまでの10年間

アーティストは考えた。「ないものは、作ればいい」(2013) 

 八谷和彦

最初に自己紹介しますと、僕はアートの中でも、映像機器やコンピュータ―などの比較的新しいテクノロジーを用いた「メディアアート」というジャンルで作品を作っているアーティストです。(14ページ)

オープンスカイプロジェクト

宮崎駿氏原作のコミック/アニメーション作品『風の谷のナウシカ』の劇中に出てくる架空の航空機『メーヴェ』の機体コンセプトを参考に、それを『本当に可能な航空機』として試作し、試験飛行を試みるもの」です。(37ページ)

幾らかかったか?

僕、正確にいえば僕たちの会社であるペットワークスは、僕の人件費は抜きで、結果的に9000万円以上をこの飛行機の開発に費やしています。アート作品の製作費としては、かなり高額です。(94ページ)

L=1/2ρV^2SC~人類の知識

L:揚力(持ち上げられる機体重量)ρ:空気密度、V:速度、S:翼面積、C:揚力係数

この式をおおざっぱに説明すれば、「飛行機が飛ぶ際の重量は、速度の2乗と翼面積に比例する」ということです。つまり、重い飛行機を飛ばすには、速い速度が必要になるし、遅く飛ぶ飛行機を作ろうとすると、軽くして、翼面積を一定程度とならなければなりません。・・・「パイロット50キログラム」「機体重量30キログラム」、「離陸速度は時速36キロメートル」ぐらいの条件で計算して、「全幅8メートルぐらいの機体で、重さを30キログラムに抑えられればメーヴェは作れる!」という結論を得ました。(24ページ)

ジェットエンジン~知識を実現するテクノロジー

ジェットエンジンは高速で回転する動力装置です。アイドリングの状態での回転数は1分間に3万回転。フルスロットの時はこれが9万8000回転にもなります。最高出力は40キログラム重。本体重重が3.4キログラムしかない、本当に生まれたての赤ちゃんみたいな小型のエンジンですが、軽量で大きな翼の機体を飛ばすには十分な出力があります。(6ぺージ)

ジェットエンジンも進歩していて、候補のエンジンは120万円ほどで買えそうです。・・・手頃なジェットエンジンをインターネットで見つけることができました。オランダのAMTという会社の製品です。ここが比較的大型の無人機用のエンジンを作っている・・・(149ページ)

 

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2016年7月31日には最後のフライト(クラウドファンディング中)八谷和彦(@hachiya)さん | Twitter

 

ナウシカの飛行具、作ってみた

風の谷のナウシカは劇中で大国トルメキアと異教徒国ドルクの戦争を調停しようとする。八谷氏は「いつか現れるナウシカのために、調停のための飛行機を作って世界が変わるのを待とうと思いました。「希望」という言葉を、直接訴えるのではなく、どこかでそれを感じさせるようなものを作ろう」(27ページ)と考える。八谷氏は10年と9000万円で実際に飛行できるメーヴェを完成させる。操縦するのは八谷氏、その為にパラグライダー、トライク(エンジン付パラグライダー)で操縦経験も積む。

f:id:kocho-3:20160629071536p:plainAMT Netherlands

驚いたのはジェットエンジンの安さ。無人機用のジェットエンジンだそうである。ジェットエンジンがインターネットで買える!

本書の帯にはアート×デザイン×テクノロジー、とある。現代は夢を描く人間には実現できる知識とテクノロジーが簡単に手の届く時代なのだと痛感する。

飛行具は間違いなく“希望をどこかで感じさせるアート”であった。

蛇足

10年あれば違う世界をめざせる

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