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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

お金とは共有する価値を表象するもの、である~『貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで』

貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで

 セガール氏は投資銀行の経験を持つ。私たちはなぜこれほど「お金」に翻弄されるのか?(2016)

 

アメリカドルの価値

(ドルは1970年代初めから)金による裏づけはなくなり、いまではソフトマネーになった。・・・ドルの価値はアメリカ政府の信頼によって裏付けられているのだ。・・・しかし最も明快なのは、経済学者ミルトン・フリードマンの説明だろう。「緑色の紙切れに価値があるのは、価値があると誰もが信じるからだ」という。(186ページ)

評価がリアルな金銭価値を持つ時代

一部の企業、たとえばアメリカン航空の戦略家は、デジタルな相互接続性を利用して企業の評判を高める努力をしている。その一環として同社は、ソーシャルメディアのフォロワーが多い顧客を優遇し、その見返りにポジティブな反響を期待している。(SNAの影響度を計測するwebサービスである)クラウトのスコアが高い人物に、空港でファーストクラスのラウンジの使用を許可するときもある。・・・要するに評判が高いほど、大きな利益がもたらされる。これは夢の世界ではなく、現実の世界での出来事だ。(266ページ)

価値が共有できるものが通貨

評判だけでなく、思考、感情、経験、夢、アイデアなどメンタルな要素のすべてが通貨として機能する可能性が考えられる。お金は脳に刺激を与え、その結果、側坐核は島などがこれらの部位を同様に活性化するにかぎり、それを価値の表象として認識し続ける可能性はあり得る。・・・未来の人間はほぼすべての神経活動を交換したり取引したり、売買するようになり、それがビットコインのような分散型のプロトコルによって認証されるかもしれない。(267ページ)

お金は沢山あった方がいいか?

お金に関して、多くの宗教指導者は少ないほどよいという精神的論理を擁護している。彼らの教えは物質的な富へのこだわりから解放されれば精神的な豊かさが得られるという、逆説的な見識を備えている。・・・人類学者のディヴィッド・グレーバーは、ピタゴラスブッダ孔子など影響力の大きな宗教指導者が、紀元前6世紀に硬貨が発明された地域―ギリシャ、インド、中国―に暮らしていた事実を指摘する。そして、お金も永続的な宗教も、どちらも紀元前800年から紀元600年にかけて誕生したのは、決して偶然ではないという。(281ページ)

貨幣の新世界史

我々は普通、お金は沢山あった方がいい、という価値観を持つ。お金はつまるところ、共有される価値の表象である。徴税権を担保とした政府の信用を共通の価値として受け入れているのである。ポイントは共通して受け入れられる価値であれば何であっても良いこと。共通の価値として受け入れられること、を追求していくと脳の中でポジティブな感情を表象するものが通貨として機能することになる。

一方、お金は少ない方がいい、という価値観もある。宗教界や芸術の世界ではお金に固執することでは最終的な満足感が得られないと説く。貨幣経済の進展と共に、貧富の差の拡大した時代に宗教は始まった。宗教はお金とは別の、その宗教で共有されている価値を提供しようとする。お金が重要ではない、というの間違えである。宗教も指摘するのは、お金が持つ価値が広く共有されなければ意味がない、と考えるべきであろう。

お金を中心とするシステム、お金を中心としないシステム、その両方が同じ結論を導き出す。我々はお金も含め、何らかの価値を他人と共有するとき、最大の喜びを見出すのである。

蛇足

お金とは共有できる価値を表象する、だからお金は”脳のポジティブな反応”=喜びを共有する為に使われる

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