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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

もはやグローバル化は単純な欧米化、ではない~『大収斂 - 膨張する中産階級が世界を変える』K・マブハニ氏(2015)

大収斂 - 膨張する中産階級が世界を変える

マブバニ氏はシンガポールのインド系移民として生まれ、長らくシンガポールの外交官として活動。

 先進国の経済格差が広がる一方で新興国中産階級が爆発的に増大する!(原書は2012、2015)

 

 

193人の船長のいる地球号

現代のグローバル化以前の世界、つまり100以上の別々の国々のなかでそれぞれに暮らしていた頃の人類は、100隻以上の船からなる船団に譬えることができる。当時の世界で必要だったことは、これらの多くの船が互いに衝突をしないようにルールを定めることであり、大海原を航海する際に互いが協力することであった。・・・今日、世界をとりまく状況は、がらりと変わった。地球という惑星に住む70億人の人々は、今では、100隻以上の別々の船にのっているわけではなくなった。同じ船に乗り、193室ある、それぞれの船室にいるのである。この船は問題を抱えている。この船には193人の船長と船員がおり、それぞれの船室に対して責任を負っている。ところが、この船全体に対して責任を負う船長も船員もいないのだ。(18ページ)

行動委様式の収斂がグローバル化を支えている

共感的な規範についてのグローバルな収斂は、経済の領域を超えて広がっている。ここで見てきた5つの規範―近代科学の受容、論理的思考、自由市場経済、社会契約における変革、多国間主義―が示していることは、これらの規範についての一致が、今では、広範な領域に浸透していることである。ますます多くの国々が、お互いに似たような行動をとるようになってきており、グローバルな流れのなかに、合流しつつあるのである。(82ページ)

社会契約における変革(→5つの規範のうち説明が必要なもの)

西洋が、世界の他の地域を引き離して大きく躍進できた理由の一つは、人々は自らの領土や主君に対して責任を負うが、その逆はないとする封建的な観念を、最初に打ち破ることができたからである。西洋は、人々が自らの統治者を選ぶ民主制を作り出したことにより、物事を逆転させたのだ。この役割の逆転が、人類史に根本的な変革を引き起こしたのである。(71ページ)

生活水準の大収斂

2012年現在、5億人のアジア人が中産階級の生活水準を享受している。2020年までには、この数が、17億5000万人にまで膨れ上がるのだ。(17ページ)

訳者あとがき、より

本書の特徴を簡潔に述べれば、非西洋人、アジア人によるグローバル論であり、新興国の立場に立ったグローバル論であるということである。・・・本書でマブバニが説く「大収斂」は、西洋が世界を支配した時代の終焉を意味している。長い時間軸で「世界史」あるいは「グローバルヒストリー」を見たなからば、西洋が世界を支配したここ200年ほどは「特異」bな時代であり、西洋の支配が終焉しようとしている現在、世界は「通常」の状態に戻ろうとしているのである。(394ページ)

大収斂

本書で世界は行動規範を共有することによってグローバル化が進行している、と説く。その結果全体の12%を占めるに過ぎない欧米諸国の比重は低下していく。今までグローバル化が欧米化と混同されてきたがそれは本質ではなく、多国間化が進むと同時にアジアにおいて中産階級の膨張という結果をもたらすと考える。

我々が認識しなければいけないのは、本書の言う“世界的な行動規範”は欧米が確立したものであるが、だからといってすべてが欧米の為に出来上がっているのではない点である。語学を含め欧米にとって有利なことは間違いないが、欧米諸国も国内の経済格差の拡大などグローバル化の悪影響を克服できないでいる。

本書で著者は「グローバルな収斂の存在に疑問を感じている向きは、時間をとって、何か自分の関心のあるテーマのグローバルな集まりに参加してみるべきである。」(82ページ)と

勧める。大収斂をチャンスにするには自ら大収斂に参加することが良さそうである。

蛇足

グローバルな一人の船長、はユートピア、あるいはディストピア

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