毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

そうか、日本自体リバース・イノベーションだったのか~『リバース・イノベーション』Vゴビンダラジャン氏×Cトリンブル氏(2012)

リバース・イノベーション

 リバース・イノベーションとは、新興国市場向けに開発を行った商品を、先進国でも展開し、グローバル市場のシェアを拡大する戦略のことです。(2012)

 

リバース・イノベーション

リバース・イノベーションとは、簡単に言うと、途上国で最初に採用されたイノベーションのことだ。こうしたイノベーションは意外にも、重力に逆らって川上へと逆流していくことがある。・・・新しい現実はといえば、未来は本国から遠く離れた所にある。富裕層と有力な多国籍企業が成功を持続したければ、次世代のリーダーやイノベーターは、身近な場所に目を向けるのと同じくらい、途上国におけるニーズや機会にも関心を向けなければならない。(11ページ)

途上国は違っている

途上国は富裕国とは異なっている、ということだ。それも、ほんの少しの違いではなく、天と地ほども違うのである。富裕国には、毎日大金を費やす人々がごく少数いる。途上国には、毎日少額を費やす人々が大勢いる。どちらも支出金額は膨大だ。中国とインドはマイクロ消費者のいるメガ市場なのである。(14ページ)

途上国のメリット

途上国の消費者は、富裕層がいまだ解決したことのない問題を抱えている。さらに貧困国は、富裕層が数十年前に似たようなニーズの対応した際にはまだ利用できなかった最新技術を用いて、自分たちの課題に取り組めると言う相対的に恵まれた状況にある。貧困国で機会をつかむことは、一から始めることを意味する。私たちが、リバース・イノベーションを「白紙状態のイノベーション」と呼ぶ理由がここにある。(32ページ)

リバース・イノベーションになぜ取り組むのか?

企業がやるべきことは、満たされないニーズを特定し、イノベーションに取り組み、競争し、成長することにほかならない。一部の経営陣と研究者は、貧困層の暮らしを改善する努力への企業の参加を説明するために、社会的イノベーション、包括的イノベーション、包括的成長などの用語を駆使しているが、私たちは別の言い方を提案したい。ただ「ビジネス」と呼ぼうではいか。それこそが最高のビジネスである。(336ページ)

リバース・イノベーション新興国の名もない企業が世界市場を支配するとき

第二次世界大戦後、日本の名もない企業がグローバル企業に成長していった。ホンダ、ソニーなどなど。本書を読んで戦後復興期の日本企業はリバース・イノベーションを実現していたのだと気づく。1958年ホンダは米国市場にスーパーカブを持ち込み、米国でのオートバイのイメージを一新させることに成功する。従来米国ではオートバイは大型のどちらかと言えばアウトサイダーな乗り物であった。これをホンダはスーパーカブで女性も含む一般市民の健康的な乗り物に変えた。

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1964年スーパーカブがヒット、米アカデミー賞のスポンサーになる。

http://www.honda.co.jp/50years-history/challenge/1959establishingamericanhonda/page06.html

スーパーカブは当時日本の未だ豊かとは言えない、自動車を変えない市民に交通手段を提供するものとして生まれた、価格重視の商品であった。当時の日本を途上国とは呼べないが、これもまた立派なリバース・イノベーションであったことに気づく。

成熟した先進国マーケットで同じように考えれば同じ結果が生まれる。リバース・イノベーションは途上国という違った環境から生まれるイノベーションを活用しようとする。イノベーションは辺境でこそ、生まれる。

蛇足

違った場所が違った結果を生む

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