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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

目的意識は誰にも教えられない~『「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論』酒井嵩男氏(2015)

「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 (講談社現代新書)

酒井氏は人材開発のコンサルティング「タレント」とは、企業の利益を生み出すような新商品を開発できる優れた人材のこと。(2015)  

 

製造業もサービス業も本質は製品開発である

製造業は、ざっくり言ってしまえば、「コンテンツ産業化」「情報産業化」「知識産業化」しているのである。もちろん。利益の大半を生み出すのはこうした情報創造の工程(製品開発)であって、情報転写の工程(生産現場)ではない。(71ページ)

情報視点・知識視点で見たときには、有形の「モノ」つくりも、無形の「サービス」も全く同じだということもある。情報視点で組織や人のハタラキを捉えれば、モノとサービス、営利・非営利を区別して考えなくてもよいのである。(81ページ)

製品開発は主査によって行われる

今日トヨタだけでなく、ほとんどの企業が勝負をかけているのは、「設計情報の質」である。つまり製品開発(何を作るか)に莫大な投資をしている。・・・買い手の真の要求を探り、設計思想を創成し、生産し、商品をプロモーションし、販売する、すべてのプロセスで責任を持っているのは、トヨタでは主査(チーフエンジニア)である。担当する商品の販売量・シェア・利益に責任を持つのはこの車両担当である。

主査制度は、1953年、当時トヨタ自動車の常務であった豊田英二氏らが中心となって始めた。・・・制度の発案者は長谷龍雄氏である。(214ページ)

豊田英二氏は、「主査は製品の社長であり、社長は主査の助っ人である」と述べている。(216ページ)

自動車ビジネスは、一つの車種の売上が1000億円から2兆円程度である。豊田英二氏によれば、主査は大企業の社長と同等の責任を持っているとのことで、「誰が」主査を担当するかは、決定的に重要である。(218ページ)

トヨタから学んだアップル

トヨタの主査制度による製品開発の仕組みは、米国でコピーされて使われている。・・・アップルでは、製品開発はスティーブ・ジョブズを主査とした開発体制を取ってきた。生産や在庫管理は、現在社長のティム・クックが担当してきた。ちなみにティム・クックはトヨタ生産方式の専門家である。主査制度とトヨタ生産方式の組み合わせがアップルなのである。(240ページ)

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1966年中村主査によって開発されたトヨタカローラ

ハイブリッド開発に連なるビッグ車両主査のDNA | Cordia blog

 

タレントの時代

酒井氏はトヨタのクルマ作りの強さとして主査制度を挙げる。一人の主査がクルマ作りのすべてに責任を持つ。本書ではこの主査を務める人間を“タレント”と呼ぶ。タレントと呼ばれる人間は、目的意識の高さと、目的を達成するための能力を兼ね備えた人物であり、目的意識の高さはその人の人間性そのものと関係する。

本書によれば製造業ではもはや製造技術で差をつけることは不可能になっているという。製造業に限らず多くの産業で、本質的な商品力、すなわち顧客すら思い浮かばない様な商品を作り上げること、が求められていることになる。これを開発する為に必要なのは目的意識の高さ、どこまで世界を見通せるか?にかかっているのであろう。

トヨタ、アップルだから凄いのではなく、高い目的意識を持ち続けること、が凄いのである。

蛇足

トヨタカンバン方式による製造現場の強さ、だと思っていた。

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