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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

レコード・CD産業に学ぶ、簡単にコピー可能な時代~『パクリ経済――コピーはイノベーションを刺激する』ラウススティアラ氏&スプリングマン氏(2015)

パクリ経済――コピーはイノベーションを刺激する

 ラウススティアラ氏とスプリングマン氏は知的財産権の研究家、創造性はコピーと共存できる。(2015)

 

 

レコードはコピー可能

音楽産業においてライブ・パフォーマンス・ビジネスが活況を見せる一方で、レコード会社が崩壊しかねないのを説明する助けになる。ライブ・パフォーマンスは録音された音楽のようにコピーできない。・・・どんあビデオもライブ・コンサートのエネルギーやサウンドの代用にはならない。CDやMP3を聴くのは、現実のショーに足を運ぶのとはまるで違う。繰り返すが、エネルギー、体験、環境、これらすべてがパフォーマンスの核心であり、単に一曲の歌のようにびん詰めにして売ったり(あるいはデジタル化してコピーしたり)はできないのだ。(271ページ)

コンサートは拡大

1999年から2009年までのあいだにレコード会社の収益は激減したが、毎年数百万人の人々がコンサートに参加し、アメリカ国内におけるコンサートのチケット売上は、総額で15億ドルから46億ドルと3倍に伸びた。ライブショーによる総収入は2006年の73億ドルから、2011年には103億ドルにまで拡大した。

ミック・ジャガーのコメント

「120年にわたるレコード・ビジネスの歴史には、パフォーマーがレコードによって大金を稼いだ時期があった。・・・しかし、それはとても短い期間―だいたい、1975年から1990年の15年くらいのことでしかない。」・・・今やライブ・ツアーはローリング・ストーンズのビジネスのなかで最も収益性の高い部門だ。(271ページ)

米国レコード産業の凋落

1999年レコード会社の総売上は市場最高の145億ドルとなった。・・・2009年末には総売上は76億ドルにまで減少したー10年間ではぼ半減したことになる。・・・この傾向は2010年も続いている。全米レコード協会の最新データでは、総売上はさらに11%減少して70億ドルを割った。そしてこの傾向は終わりそうもない。(319ページ)

体験としての音楽

最も明解な適応は、音楽産業が売るものを製品から体験へと変えることだ。結論で、製品は簡単にコピーできてもパフォーマンスはなかなかコピーできなと論じた。シェフが創造性を失わない理由は、競争者はレストランの名物レシピはコピーできても、もてなしやレストランの雰囲気、あるいはサービスは簡単にはコピーできないからだ。(329ページ)

パクリ経済

本書の副題は「コピーはイノベーションを刺激する」である。ファッション、料理、コメディアン、スポーツの戦術、金融商品、などの産業ではイノベーターに続いてコピーが登場することによって活性化しているという。コピーに対しては知的財産権で保護すべきだ、と一般には理解されている。知的財産権の本質は先行者利益の延長であり、先行者利益はコピーより先行することそのもの、ブランド、などでもプロテクトが可能であると指摘する。

デジタル化によってコピーが簡単になった音楽産業はどういう変化を迎えているか?メジャーレーベルがレコード・CDを大量販売するというモデルは崩れつつある。大物ロックシンガー、ミック・ジャガーが指摘する様に、レコード・CDの販売がビジネスとして成立したのは1975年から1990年の短い間だった。そして音楽産業は祖先返りしようとしている。音楽産業の変遷は、コピー容易となった産業は変化に対応しないとレコード・CD産業の様になってしまう、ということを示している。

コピー可能な時代、オリジナルはコピーを超える先行性、本質的な性能向上、そしてブランドを構築することが重要となる。ある意味真実はつまらぬが、コピーを全否定することは間違いであろう。オリジナルもまた先行者のコピーの上に成立をしているのだから。

蛇足

コピーにどう対応するかが本質

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