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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

今必要なのは想像すらできないこと、を創る覚悟~『成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか』小野善康氏(2012)

成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)

 小野氏はマクロ経済学の研究家、需要が慢性的に不足して生産力が余り、それが失業を生み続ける現在の日本経済。(2012)

 

 貨幣があるから不況がある。

欲望は物やサービスだけに向かうわけではありません。お金を持ちたいという欲望も存在するなら、物やサービスの購入に向かわない購買力が生まれます。それなら需要の総価値が不足するという状況も自然に説明されます。・・・本書で提示する成熟社会の経済学では、それこそが人々の欲望を吸収する究極のものだと考えています。(14ページ)

バブルとは何か?

もう物はいらないがお金は欲しい、でも現金で持っていたら収益がないから、何かもうかる資産を持っておこうと思って、人々の欲望が土地や株式に向かう。その結果、地価や株価が上昇する。・・・企業や土地が生産活動やサービスを提供することによって生まれる価値ではなく、お金を持ちたいという欲望を満足させることの価値が地価や株価に反映されて、自己増殖的に広がっていくのです。これがバブルです。(15ページ)

本当の感動を知っているか?

結局、お金をためることしか能のない人は、どうしたら物質的にも精神的にも充実した豊かな時間を送ることができるのか、これを考えることができないのです。自分で感動する物やサービスが考えられないので、一生懸命働いているだけで自分では使わず、まだ物やサービスが十分にはゆき渡っていない近隣のアジア諸国の人たちに楽しんでもらって、彼らからお金を受取って満足している。そういう態度こそが慢性的な需要不足を生んで、不況を長引かせているのです。(27ページ)

成熟社会に求められる能力

発展途上社会にとっての国際競争力とは生産能力ですが、成熟社会にとっては、自分の国の人びとが喜ぶ新たな物やサービスを考え見つけ出す能力、つまり内需を作り出す能力です。1990年代から2000年代にかけてのアメリカ経済が活況を呈したのも、企業のコスト削減で旧来の製品のシェアを取り戻したからでも、保護貿易政策が成功して雇用が増えたからでもありません。パソコンやインターネットなどのIT関連サービスを通じて、消費者の新たな楽しみを創造し、内需を刺激したからです。(193ページ)

成熟社会の経済学

我々はもっと質の高い、もっと人を感動させる、物・サービスを創る努力をしてきたか?単純に過去の延長線上に考えていただけではないだろうか?日本を始めとする成熟社会の一番の役目は人が考えもつかない、もの、ことを創り出すことではないか?

お金を持っていることとはお金を払っても欲しい自分が感動できるものを未だ知らない、恥ずかしいこと、なのかもしれない。

日本をマクロ経済学の手法で分析してわかること、セイの法則は機能していない、こと。それを哲学的に表現すれば"お金へ執着"は意味がないことと同じである。

蛇足

見たこともない、聞いたこともない、想像すらつなない、これが必要である。

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