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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

眼と葉緑体には共通点があった~『生命の跳躍――進化の10大発明』ニック・レーン氏

生物

生命の跳躍――進化の10大発明

ニック・レーン氏はサイエンスライター、進化史に飛躍的な変化をもたらした10の発明とは?(2010)

意識に続く第二段、今回は視覚の獲得について

意識はどうして生じるか理解できないから意味がある~『生命の跳躍――進化の10大発明』ニック・レーン氏(2010) - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

 視覚の獲得

眼というのは、実に稀有なものだ。少なくとも一般的な意味でいう眼は、植物界にはなく、真菌類や藻類や細菌にもない。動物界でも、眼は決して普遍的にあるものではない。動物界には、お互いに根本的に異なる体制を持つモデルー「門」というーが38あると言われるが、これまでに真の意味で眼を作りだした門は6つしかない。・・・(6つの門を)全部合わせると、動物全体のうち95%に眼があることになる。かつて眼を発明したひとにぎりの門が、今日の動物界ですっかり幅を利かせているのである。(258ページ)

人間の眼は最良の形か?

われわれの網膜は後ろ向きにプラグを差し込んだ状態とよく言われ、これはばかげた仕組みのように思える。光受容細胞は、前に突き出るのでなく、奥にあって、それを覆うようにニューロンの配線が前を通り、迂回しながら脳へと伸びている。光はこの配線の森をくぐり抜けないと光受容細胞に到達できず、さらにまずいことに、配線が束になり、視神経として網膜を貫いて奥へもぐっているので、網膜のその場所は盲点となる。・・・(人間の眼の良い点は)われわれの光受容細胞は土台となる細胞(網膜色素上皮)に直接埋め込まれていて、そのすぐ下には血液がたっぷり供給されているという利点がある。そのような仕組みが、感光色素の絶え間ない代謝回転を支えている。ヒトの網膜は1グラム当たりの酸素消費量が脳より多く、体内で最もエネルギーを消費する器官なので、この仕組みが非常に役立つ。(262ページ)

 f:id:kocho-3:20160508140502p:plain鳥取大学医学部 N教授Website

 

網膜の構造

光受容細胞層:色を感じる錐体と、光を感じる桿体(かんたい)で構成。錐体は赤・青・緑の3原色で判別し、細胞の割合は赤40、緑20、青1の割合であり、赤に一番敏感に反応する。

シナプス層~双極細胞層~内シナプス層:光受容細胞層で感知された光と色はここで赤・青・緑・黄の四原色に変換される。この視覚情報が視神経を通って脳へと伝達される。

 

光受容細胞

感光色素ロドプシンを含有する、ただ1種類の光受容細胞が、脊椎動物無脊椎動物の共通祖先において、遺伝子の小さな委員会の支配下で進化を遂げた。(296ページ)

多くの藻類は、単純な眼点でそうした色素を使って光の強度を測り、必要に応じてなんらかの対応をする。・・・(藻類の)眼点に存在する感光色素はロドプシンなのである。

眼の誕生

今から5億4400万年まえには眼は全く存在しなかったのに、その400万年後には十分に発達した眼が存在していた。・・・地質学的に見れば、カンブリア爆発は、まばたきのあいだにーほんの数百万年のうちにー起きた。ところが進化の観点から見れば、これはとても長い時間だ。50万年でも、眼が進化するには十分すぎる。(276ページ)

視覚の獲得~生命の跳躍

本書によれば眼は藻類の葉緑体に遡ることができるという。感光色素ロドプシンは藻類が光の波長に対応する為の機能を持っていたという。それが脊椎動物と非脊椎動物の共通祖先に取り込まれ、カンブリア爆発を経て高度な眼の機構を獲得したと考えられる。

眼の複雑な機能もその本質は光への反応という極めて汎用性の高い機能が最適化した結果なのだと知る。著者は遺伝子の小さな委員会と表現したが、ダーウィン進化の働きは400万年という時間の中でそれを成し遂げた。そこには誰かが意図をもって設計したというインテリジェント・デザインの発想は必要としない。

蛇足

眼と葉緑体、共通点があった。

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