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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

世界で一番辛い料理はどこの国の料理か?~『トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」』山本紀夫著

トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書)

山本氏は民俗学の研究家、新大陸から伝わった当初、「犬が食べると死ぬ」「大毒である」と言われた魔の香辛料が世界中に普及し、食卓革命を起こした。(2015)

 

 

中南米最古の作物

アメリカ大陸における最初の植物栽培に関する考古学的な証拠は、ペルーの中部山岳地帯で紀元前8000年~7500年にまでさかのぼる。そして、その時代にトウガラシはすでに利用されていたらしく、トウガラシの遺物が見つかっている。・・・トウガラシはインゲンマメなどとともにアメリカ大陸でもっとも古くから利用、栽培されていた植物の一つと考えられるのである。(8ページ)

トウガラシは雑草

トウガラシの近縁野生種は例外なく道路や川岸など、不安定な植生の環境でのみ見られ、純粋の自然林や自然草原などでは生育しない植物、すなわち雑草なのである。このように雑草は人間が破壊したり、介入した部分にだけ生じる植物であり、その意味で「雑草は人間文化にたよって育成している」のである。(55ページ)

一番食べられている香辛料

本木性の香辛料作物はコショウやサンショウ、チョウジ、ニクズクなど少なくないが、どれも品種の多様性という点ではトウガラシのそれに遠く及ばない。また、そのため、ほとんど香辛料が熱帯なんどの一部地域に栽培が限定されるのに、トウガラシは熱帯だけでなく、温帯でも栽培できる。その結果、トウガラシは、現在世界で一番たくさん栽培され、また消費もされている香辛料なのである。(56ページ)

辛さが魅力

トウガラシの辛味成分であるカプサイシンは舌を強く刺激し、舌の痛覚がそれを感じる。つまりカプサイシンの辛さは「痛い!」と感じる辛さなのである。そこで、トウガラシを食べると人間の体は、この痛みの元となる物質を早く消化し無毒化しようとして胃腸を活発化させるわけだ。トウガラシを食べると食欲が増進するのはそのためである。(209ページ)

トウガラシの世界史

トウガラシは15世紀末にコロンブスによって新大陸から旧大陸へもたらされた。気候をとわず熱帯から温帯まで栽培できることからヨーロッパを経由してアジア、アフリカへと広がった。現在生産量でみると、インドが世界最大で、中国がこれに続く。

著者によれば、トウガラシを使った一番辛い料理はブータン料理であるという。「病人食と乳児食を除けば、(ブータンの)料理でトウガラシを使わないものはない」(133ページ)

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GatemoTabum-ガテモタブン Dinner

 

 

日本にはポルトガル経由で1540~1550年ごろ伝わったが最初は観賞用が中心、江戸時代になって本格的に食用に供されるようになった。旧大陸にとって、トウガラシによる”食卓革命はついこの間のこと”であった。

蛇足

とうがらし 羽 はやせば 赤とんぼ(千代女)

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