毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

デカルト座標の原点0には何があるのか?~『4日間集中講座 世界史を動かした思想家たちの格闘~ソクラテスからニーチェまで~』茂木誠氏(2015)

4日間集中講座 世界史を動かした思想家たちの格闘~ソクラテスからニーチェまで~

 茂木氏は予備校にて世界史を教える、神なき時代をどう生きるか?(2015)

 

デカルト座標

当時の数学は、建築技師などが使うギリシア起源の幾何学と、商人や金貸しが計算に使うイスラム起源の代数学とは独立した科目として扱われていました。その二つの学問を統合したのが数学者としてのデカルトの業績で、それを象徴するのが、「デカルト座標」です。縦軸をx軸、横軸をy軸として、計算式を平面座標上の直線や曲線で表せるようにしたものです。(168ページ)

われ思う、ゆえにわれあり

デカルトは)数学的理論を駆使できる「私」の理性が絶対的な基準―いわばxy座標軸の中心点であり、そこから世界のすべてを分析できるという恐るべき確信を持つに至ったのです。「われ思う、ゆえにわれあり」という名言は、デカルトの確信を表現したものです。それまでは神が全宇宙の基準点でしたが、デカルトはそこに人間の理性を置いたのです。(173ページ)

デカルトからニュートン

デカルトの自然科学における業績は、ニュートンなど後継者たちによって乗り越えられてしまったので、今では忘れ去られています。むしろ、神の神秘から宇宙を解き放ち、人間の理性で分析可能な運動体と見なしたことが、デカルトの最大の業績なのです。デカルトの機械的宇宙論は、「神は天地創造のあと宇宙に対する働きかけをいっさいやめてしまい、宇宙はそれ自体の運動法則にのみ従って動いている」という理神論に発展し、ニュートンに受け継がれます。ニュートンの業績は、デカルトの宇宙観を実験、観察で実証したことにあるのです。(174ページ)

 

デカルトの方法論序説 

方法序説は1637年に公刊された。正式名称は、『理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の話(方法序説)。加えて、その試みである屈折光学、気象学、幾何学。』であり、方法序説はその序文に当たる。方法序説は西洋の還元主義の原点とも言える。複雑な問題も小さく分かればわかる、という真理を探究するスタンスである。当時のヨーロッパは、1633年ガリレオの地動説がカトリック教会によって批判されていた時代でもあった。

方法序説の本文ではデカルト座標が使われて、宇宙論を展開しようとした。

今となってはデカルト座標の何が革新であったか不明である。ギリシャ起源の幾何学イスラム起源の代数学の統合と捉えると、デカルト座標の革新性がイメージできる。

デカルトは、宇宙を空間と数式によって捉えることを初め、ニュートンはそれを引き継いだ。デカルト座標はそのことを明確にしてくれる。

蛇足

デカルトは最先端の都市、オランダ・アムステルダム方法序説を出版した。

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