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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

人種奴隷制プランテーションが西洋近代を作った~『近代世界と奴隷制―大西洋システムの中で』池本幸三氏×布留川正博氏×下山晃氏(1995)

近代世界と奴隷制―大西洋システムの中で

 プランテーション労働に基づく南北アメリカの黒人奴隷制と大西洋奴隷貿易を、大西洋システムを背景に克明に分析し、近代奴隷制を資本主義世界との密接な関連の下に捉えた労作。(1995) 

表紙:植民地本国あるいは擬人化された重商主義~左の女性からアメリカ、ヨーロッパ、アフリカを擬人化、ヨーロッパがアフリカとアメリカを征服している。

西洋的近代

わたしたちは、その起点を「西洋的近代」(あるいはとくに工業化以前の近代を指す言葉としての「近世」)に求める。それはまずヨーロッパ人による地球上の異質の空間の「発見」に始まった。スペイン・ポルトガル人を先頭に、彼らは激烈な競争を繰り返しながら、新大陸やアフリカ、アジアに進出した。その際、冒険的貿易商人たとは、地中海や北海・バルト海などの遠距離通商から、新大陸やアジアへと活動領域を広げ、通常の交易行為とあわせて、海賊行為や詐欺、買収、不正手段を利用した。と同時に、商人たちや地主資本は、南北アメリカカリブ海の島じまにおいて、異人種・異民族を不自由労働力として使用し、世界的商品を利用する、奴隷制プランテーションという新たな生産様式を創出したのである。

ここに、それまで蓄積されてきた貨幣や、新たに交換や強奪によって入手した貨幣が、ヨーロッパの工業製品や新世界のステイプル、さらにアフリカの黒人奴隷の交易のみならず、プランテーション生産の経営資本としても投入されたのである。(2ページ)

コロンブスとその時代

コロンブスは(出身地である)ジェノバから(商人として修行時代にあたる)ポルトガル時代を通じて、船乗りとして、また貿易商人としてかなり豊富な経験を積み重ね、とりわけ砂糖、金、奴隷の取引に直接関与していた。・・・こうしたことを前提にして彼は、西廻りの航海で「インディアス」(当時はインド以東の東アジア全域を意味していたに向かおうとしていたのである。地中海中央部から出てイベリア半島、マデイラ、西アフリカ、そしてさらには大西洋から西インド諸島へと活動の舞台を広げていった彼の生涯は、そのままこの時代の糖業プランテーションの拡張、ひいてはヨーロッパ世界の拡張を象徴し体現していたと言ってよいだろう。(55ページ)

先住民インディオの発見

コロンブスの航海日誌やスペイン王室宛の手紙に述べられている先住民インディオに対する最初の印象は彼ら先住民がいたって従順温和であり、教えられればすぐにキリスト教徒にあるであろうし、また、労役、種まき、その他必要ああらゆる下働きをさあえて、ヨーロッパの風習になじませることができるであろうというものであった。・・・1498年、第三次の航海ではコロンブスがおよそ600人ものインディオを奴隷として連れ帰っている。こうして、強制労働→インディオ反乱→武力制圧→強制労働という「閉じた回路」がこの時点で形成される。この回路を成立させていたのは、レコンキスタの延長線上にある当時のスペイン人の好戦的姿勢とそれを物質的に保障する武力的優位、それにイスラム教徒ですらない邪教徒インディオに対する極端な侮蔑意識であった。(58ページ)

近代世界と奴隷制

 

本書では西洋近代とはヨーロッパと大西洋を挟んだ南北アメリカと西アフリカを包含した「大西洋システム」として始まった。その初期に誕生したのが人種奴隷制プランテーションという生産様式である。コロンブスの新大陸発見は最初から、奴隷制プランテーションがあったことになる。コロンブスの時代、ヨーロッパは既に西アフリカの島々で奴隷制による製糖を開始しており、これがそのまま南北アメリカ大陸に持ち込まれていた。

我々は資本主義を産業革命によって成立したものとイメージするが、産業革命に至る経済システムと資本、市場を提供したのは奴隷制による収益が最初にあった。我々の住む西洋的近代はこうやって始まった。

蛇足

人種奴隷制プランテーションの代表的商品は砂糖

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