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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

コロンブス交換という言葉を知っていますか?~『ヨーロッパの舌はどう変わったか―十九世紀食卓革命』南直人氏(1998)

ヨーロッパの舌はどう変わったか―十九世紀食卓革命 (講談社選書メチエ)

 南氏はドイツ近代史の研究家、十九世紀、ヨーロッパの食卓に未曾有の変動が起きる。植民地からの誘惑の味、コーヒー・砂糖。科学の福音、缶詰。テーブルマナーの洗練、美食大衆の誕生。(1998)

ヨーロッパ人は新大陸に何を持ち込んだか?

コロンブスは1492年、第1回の航海の帰路にトウモロコシを持ち帰った。これが新大陸原産作物のヨーロッパ伝来の最初であろう。・・・逆にヨーロッパ人たちは、旧大陸の作物や家畜を新大陸に持ち込み、それを定着させていった。すでにコロンブスが第二回公開の際に小麦やオリーブ、砂糖キビなどを持参している。植民者たちは、牧畜を含めヨーロッパの農業を新大陸に大規模に移植したのである。革新という点からいえば、この旧大陸起源の作物が新大陸に与えた影響の方がずっと大規模かつ深刻であったといえる。(57ページ)

新大陸サイドからすればどうであったろうか。確かにヨーロッパからもたらされた農業と牧畜は新天地で開花し、新大陸は農産物や畜産物を潤沢に算出する豊かな地域となった。しかしそれはヨーロッパ人を潤しただけである。・・・この現象は、交流の実態を動植物のレベルから微生物のレベルまで引き下げてながめると、一層鮮明となる。ヨーロッパ人は新大陸に何をもたらしたのか。それは種々の病原菌であった。しかも新大陸の側ではそれにたいする免疫を欠いていた。(59ページ)

コロンブスの交換

この時代に始まる新旧大陸の交流は、全世界を巻き込んだ作物の交流を促した。・・・ヨーロッパ人を媒介として、地球規模での栽培食物の交流が始まったのである。この現象は近年「コロンブスの交換」と呼ばれれ、その世界史的に重要な役割が注目されている。その意味で、この時代を「第二次食物革命」ととらえることも誇張とはいえない。「第一次食物革命」すなわち約1万年前の農業の開始に匹敵する大事件ということである。(58ページ)

ヨーロッパは大きなリターンを得た

ジャガイモやトウモロコシのような作物は、その収益性・熱量効率の高さにおいて麦類をはるかにしのぎ、貧困な階層の栄養水準をかなり引き上げた。・・・微生物レベルでみても、ヨーロッパサイドは、新大陸から大きな恩恵をこうむっている。それはキニーネ(キナノキの樹皮)のことである。アンデス山中で産し、1532年ころあるイエズス会士によってスペインに紹介されたというこのマラリアの特効薬のおかげで、ヨーロッパ人は風土病ともいえるマラリヤと闘ううえで、強力な武器を手にすることができた。しばらくはイエズス会の独占物であったが、これもヨーロッパの人口動態に大きな影響を与えたと思われる。さらにキニーネは、ヨーロッパ人が本格的に熱帯植民地を加発してゆく際の武器にもなった。(59ページ)

ヨーロッパの舌はどう変わったか?

コロンブスの交換によりヨーロッパ人は、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、カボチャ、インゲン豆、落花生、トマト、唐辛子、などの食物を得た。更にキニーネという薬を得た。一方新大陸は小麦、オリーブ、砂糖キビを得た。更に天然痘を始めとする病原菌も得た。

本書によれば日本にトウモロコシが伝わったのは1579年、コロンブスからわずか100年で世界一周していたことになる。我々もまたコロンブス交換によって生まれたメリットを享受し続けている。一方コロンブス交換によってデメリットのみを受けた人々もいた。

蛇足

異質の遭遇でメリットとデメリットを分けたものは何だったのか?

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