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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

日本的な様式美とは何か?~『日本人にとって美しさとは何か 』高階 秀爾氏(2015)

日本人にとって美しさとは何か (単行本)

高階氏西洋美術史の研究家、 大胆なデザイン性、多様な要素を一つ画面に納める構成力、日本独自の美意識を明らかにし、この感性がいかに中国や西洋の文化を受け入れたかを詳らかにする。(2015)

光琳の≪紅白梅図屏風

日本人の美意識をきわめてよく示す作品は、おそらく光琳の≪紅白梅図屏風≫でしょう。それは、金地濃彩で描かれたという点で、日本の装飾性の原理をきわめた作例であるといえますが、それだけでなく、大地や空、周囲の草地などが排除され、三つの対象を描いていることが示すように、切り捨ての美学を立証するものでもあります。もう少し観察してみると、モティーフの数がきわめて少ないにもかかわらず、画家が複数の視点を用いていることがわかります。樹は水平方法から描かれているが、水流は斜め上からみ下ろされていることがわかります。クローズアップの美学も左方の白梅の描き方に現れており、樹幹の根元の部分と垂れ下がる枝の最後部のみが描かれているのです。(92ページ)

金地濃彩

この金地の使用は、その豪華な装飾効果のほかに、日本絵画の二つの特質と深くかかわっています。第一にそれは、観る者が画面の奥行きに入っていくことを禁じ、平面性を強調することであり、第二には、それが画面形式として、不要なものを覆い隠して、主要なモティーフを際立たせることを可能にする機能、・・・「切り捨ての美学」を実践することで、構図を単純化するという機能を果たすのです。(91ページ

自由に移動する視点

自由に移動する視点から眺められた対象を並置する手法を生み出しました。・・・画家はそれぞれ対象に最もふさわしい視点を採用しているのです。(90ページ)

東と西の出会い

日本美術の熱烈な愛好家であったモネは、「影によって存在を、部分によって全体を暗示するその美学は、私の意にかなった」という言葉によって、まさに日本美術の完全な解釈を示してみせたのです。(96ページ)

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紅白梅図屏風 | MOA美術館

切り捨ての美学と、自由な視点

西洋絵画は遠近法や明暗法によって「平面上に完全な三次元幻想を創り出す」ことに成功していた。西洋の印象派と言われる画家は、日本画の純化された様式性に新たな表現様式を獲得する。

光琳の≪紅白梅図屏風≫は金地によって背景を省略し、左側の白梅はクローズアップされ、右側の紅梅は先端部分がカットされている。大胆に切り取られている。

そしてこの3つの対象物は画家との距離と角度がすべてまちまちであり、画家が描き易い視点を選択している。

光琳の≪紅白梅図屏風≫は見るものに違和感を引き起こさせる。それは西洋絵画の遠近法と明暗法に慣れた我々にとっては異質と感じるからであろう。一方で我々はマンガの表現に切り捨ての美学と自由な視点という技法を見出すことができる。著者は「大胆に切り捨てる一方、多様な要素を隔てなくとりこむ」と表現する。我々は全体としてみれば、日本的な様式に囲まれている。

蛇足

絵画は知識によって鑑る

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