毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

そうか、”一人電通”を続ける覚悟を持てばいい~『「ない仕事」の作り方』みうらじゅん氏’(2015)

「ない仕事」の作り方

みうらじゅん、はエッセイスト、小説家、ミュージシャン、評論家、ラジオDJ、編集長、ライター、解説者など幅広い分野で活動しており、公表している職業は「イラストレーターなど」。「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られる。(2015)

 

 

ブームを作る

私の仕事をざっくり説明すると、ジャンルとして成立していないものや大きな分類はあるけれどまだ区分けされていないものに目をつけて、ひとひねりして新しい名前をつけて、いろいろ仕掛けて、世の中に届けることです。(3ページ)

私が「仕掛け」をするのは、本当に好きになったものだけなのです。そして、その“本当に好きで、まだ皆が知らない面白いこと”を世界に届けたい。そのためには「ブーム」を起こすことが必要なんです。ブームにならないと、誰も見てくれませんから。

「一人電通」戦略

電通とは日本を代表する広告代理店ですが、そこで行われていることを、全部一人でやってしまおうという意味です。…ネタを考えるのも自分。ネーミングするのも自分。デザインや見せ方を考えるのも自分。雑誌やテレビやイベントなどで、それを発表するのも自分。さらに、そのために編集者やイベンターを接待し、なるべくネタが良く見えるように、多くの人の目に触れるようにしていくのも自分。クリエイティブだけでなく、戦略も営業もすべて一人で行うわけです。(6ページ)

自分なくし

私が何かをやるときの主語は、あくまで「私が」ではありません。(私が本当に好きなものである)「海女が」とか「仏像が」という観点から始めるのです。今のマスコミに取り上げてもらったりすることがありますが、実は私自身はどうでもいいんです。…そもそも何かをプロデュースするという行為は、自分をなくしていくことです。自分のアイデアは対象物のためにだけあると思うべきなのです。しかしそこで自己主張してしまうと、世の中からすぐに「必要がない」「欲しくもなお」と気づかれてします。そこで自分を消し、あたかも「なかったもの」が流行っているかのように、主語を変えてプレゼンしてみる。すると、人々は「流行っているのかな?」と、ようやく目を向けてくれるようになる。…徐々に自分のボンノウを消していき、「自分なくし」をすいるほうが大切です。(133ページ)

何かを好きになるということ

自分を徐々に洗脳して、長く時間をかけて修行をして、対象のことを深く知ってからでないと、長続きもしないし、人を説得することもできないということです。…コツコツと自分だけの「好き」を極めていかないといけない。奥が深い世界であればあるほど、軽く口にしてはいけないのです。(169ページ)

「ない仕事」の作り方

 

ゆるキャラ」ブームはみうらじゅんによって作られていた。遡ること20年前、みうらじゅん氏は地方物産展で着ぐるみを見かける。「地方の物産展で見かける、おそらく地方自治体が自前で作ったであろう、その土地の名産品を模した、着ぐるみのマスコットキャラクター」(16ページ)を「ゆるキャラ」と名付けた。今や「ゆるキャラ」は定着し、一大産業にまでなっている。「ゆるキャラ」が一人のコンセプトと熱意によって始まっていたことを知る。本人が好きだ、と思い込む所からしか、「ない仕事」はスタートできない。そしてスタートしたら継続すること、である。

蛇足

 

ブームを起こすには、一人電通を続ければいい、

こちらもどうぞ

 

 

kocho-3.hatenablog.com