毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

プロフェッショナルとは顧客を慶ばすことのできる人~『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか? 落語に学ぶ仕事のヒント 』立川志の春(2014)

あなたのプレゼンに「まくら」はあるか? 落語に学ぶ仕事のヒント (星海社新書)

 

立川志の春は二つ目の落語家、イェール大学→三井物産→落語家という経歴を持つ。落語は、面白くて、ためになる!落語修業を経て私の中に芽生えたのは、「サラリーマン時代に落語を知っていれば、もう少しましな仕事ができたのに……」という思いでした。(2014)

 

落語の「まくら」

落語には「まくら」と呼ばれる、本題に入る前の導入として語られる部分があります。時事問題などの世間話を織り交ぜながら落語の説明や高座の雰囲気作りを行うことが目的です。・・・私は落語にとって極めて重要な要素だと考えています。

理由は二つあります。一つ目は「相手が何を求めているのか」というあたりをつけるのに、まくらはとても有効だということです。初めて呼んでもらった場所での落語会では、どのようなお客さんが来場しているのかつかみにくい場合があります。…私は(自分の)定例の会遺骸で、あらかじめ演目を決めて高座に臨むことはあまりありません。ならばどうするのかというと、まくらを語りながらどのような話題でお客さんがウケるのかの当たりをつけ、それによって話す演目を決定しているのです。(93ページ)

もう一つの理由は、「語る内容と相手の頭の中をリンクさせる」ためにまくらが必要だということです。言葉によって何かを伝えようとする際には、相手の頭の中に絵を浮かばさせあれるかどうかか重要になります。…古典落語を演じる際は、お客さんが理解できない言葉や昔の風習が話の中に出てくることがあります。…その溝を埋め、語る内容と相手の頭の中をリンクさせるためにまくらを利用することができるのです。

落語は誰の為にあるのか?

「誰のために落語をやっているのか」と問われたら、私は「100%、お客さんのため」と答えます。私の師匠からは、「落語はアートとサービスの間にあるものだ。」と教わりました。一人よがりな芸をしても、誰も喜びません。…私の場合、高座に上がる際は、落語を演じている私と、後ろで指示を出している私の二人がいる感覚を持っています。演じていることに没頭しすぎると、あまり上手くいきません。冷めた自分がどこかにもう一人いなければ、いい落語にはならないような気がします。(163ページ)

f:id:kocho-3:20151207080607p:plain立川志の春 公式WEB
 
落語の演目は決まっていない

 落語では、「まくら」の反応で演目を決めているという。落語家は、「お客さんはこういうことを考えているのではないか?」と想像し、決定することになる。人間の知性の特徴の一つが相手の思考能力を類推することだとすれば、落語家はこれを駆使していることになる。

私の知らない世界があった。

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