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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

いつか無くなる灯台というもの~『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡』テレサ・レヴィット氏(2015)

灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡 (ブルーバックス)

 レヴイット氏はサイエンスライター、1800年代、海難事故が相次いでいたフランスで、暗い海を明るく照らす灯台が求められていた。小さな光を効率よく、より遠くまで届けるにはどうすればいいか―その難題に挑んだのがフレネルだった。(2015)

 

フレネルレンズ

通常のレンズを同心円状の領域に分割し厚みを減らしたレンズであり、のこぎり状の断面を持つ。分割数を多くすればするほど薄くなるため、材料を減らし軽量にできる一方、同心円状の線が入ってしまう欠点や、回折の影響による結像性能の悪化が顕著になる。そのため、薄型化が特に有利な用途や、回折の影響を無視できる照明用などに用いられることが多い

f:id:kocho-3:20151116084944p:plainフレネルレンズ - Wikipedia

反射鏡からレンズへ

どんなに傷が少ない鏡でも、当時の鏡の品質では反射によって光の半分は失われる。半分が吸収され、反射されるのは半分に過ぎないうえに、実際には決まって半分以下になる。完全に反射する鏡は存在しないのだ。

反射鏡をレンズに替えればすべては解決できる、とフレネルは考えた。光の屈折を利用すれば、レンズでも鏡が光を反射させるのと同じ効果が得られる。…鏡は反射で入射光の半分を自動的に失う。だが、妥当な暑さのレンズなら、鏡が失うわずか20分の1程度の損失ですむのだ。ところが、レンズの採用には致命的な欠点があった。できるだけ大量の光を捉え、それらをお互いに平行に進ませるには、非常に大きな角度で屈折するレンズを、光源の近くに設置しなければならない。…つまり、端より中央がずっと厚いレンズが必要となる。ところが中央部が厚いほど、そこを横切る光の損失は多くなる。(70ページ)

階段状レンズ

フレネルは次に、中央部の厚みを極端に減らした巨大なレンズを作ることを思いついた。つまり、1枚のレンズを「階段状に」作り上げるというアイデアだ。具体的には、レンズの湾曲した表面を同心円上で複数に分割し、最後に接合するのだ。最終的には、分割によってできた個々のプリズム(三角辺)が光線を屈折させ、1本の光線として送出することになる。レンズの暑さは、かなり減少するはずだ。(72ページ)

1823年フレネルレンズが灯台に使われる

地球の湾曲とコルドゥアン灯台の塔の高さ200フィート(約61m)を考慮すれば、灯台の光は、マスト1本の低い帆船からは9海里(約17㎞)で光彩を失う計算となる。マストに上がってみれば、それでもまだ完全に輝かしい状態で見える。なんと33海里(約62㎞)先からも見えるという計算だ。(95ページ)

フレネルレンズの遺したもの

1850年代に入るとフレネルレンズは技術的に成熟し、世界各地の灯台で使われることとなった。時は正に帆船から蒸気船へシフトしていた時代であり、各地で灯台が建設された。フレネルレンズを付けた灯台は蒸気船による海上貿易の増大を支えていた。

100年がたち、第二次世界大戦でレーダーや無線ビーコン、そして現在なら衛星GPSによって位置探査が行われるようになった。技術的には灯台の必要性は低下した。日本では現在3300余りの灯台がある。米国では灯台の操業停止が相次いでおり、いずれ日本でも減少していく。

蛇足

 灯台下暗し、はいつまで使えるか?

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