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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

青色LEDの活用は始まったばかり~『天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで 』天野 浩氏(2015)

天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで (ブルーバックス)

 天野氏は2014年ノーベル賞受賞、本当にすごいのはこれからだ! 青色LEDはなぜ夢のある技術なのか、その原理と研究の最前線を開発者自らが分かりやすく紹介。(2015) 

 

LEDは半導体

LEDの中にある結晶には半導体が使われており、この仕組みが光る鍵を握っているのです。半導体の歴史を振り返ってみましょう。最初にゲルマニウム(Ge)の研究がすすみ、シリコン(Si)がそれに続きました。その後、ガリウムヒ素(GaAs)やカリウムリン(GaP)などのような材料が開発されています。この四つの半導体の登場する順番は、・・・「バンドギャップ」が小さなものから大きなものへと並んでいます。バンドギャップが大きな結晶は、原子同士の結合が強いので高い温度で結晶を作る必要があります。・・・結晶成長の技術の向上にともなって、徐々にバンドギャップの大きな結晶がきれいにできるようになってきました。(

窒化ガリウム(GaNa)の強み

窒化ガリウムの一番の強みは、「バンドギャップが大きい」ことです。バンドギャップが大きいと、より大きな電圧に耐えられたり、より短い波長の光を生み出したりすることができます。この特徴を生かせば、窒化ガリウムは既存のLEDだけでなく、ほかにもさまざまなデバイスに応用できます。たとえば冷蔵庫やエアコンの中に使われているコンプレッサーなどの「パワー半導体」や、紫外線の中でもとくに波長が短い領域の深紫外線の光を放つLEDやレーザー、これまでは利用できなかった波長の太陽光も活用できる「窒化物太陽電池」などです。(6ページ)

バンドギャップ

電子がバンドギャップを越えて価電子帯と伝導帯の間を遷移するには、バンドギャップ幅以上の大きさのエネルギー(光や熱)を吸収または放出する必要がある。バンドギャップの大きさ(禁制帯幅)を表す単位としては通常、電子ボルト(eV)が用いられる。例えばシリコンのバンドギャップは約1.2eV、ヒ化ガリウムでは約1.4eV、ワイドギャップ半導体の窒化ガリウムでは約3.4eVである。バンドギャップ - Wikipedia

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なぜLEDは光るのか?

伝導体の電子が価電子帯に落ちたときに、バンドギャップに見合った波長の光が放たれます。つまり、LEDは熱を介さずに、電気を直接光に変えられる。・・・同じ明るさを生み出すにもわずかな電力しか必要ないのです。(LEDは白熱電球の1/8ほどしか電気を使わない)(42ページ)

太陽電池とLED

LEDと太陽電池はまったく別物のように感じるかもしれませんが、じつはとてもよく似ています。LEDは「電気を流して光を生み出すもの」でしたが、太陽電池はその逆です。「光を浴びて電気を生み出すもの」です。つまり、太陽電池もLEDと同じで半導体のPN接合(という構造を持つもの)でできているのです。(200ページ)

天野博士のやったこと

(窒化ガリウムの結晶を成長させるために使う)サファイア基盤と窒化ガリウム結晶の間に別の結晶を挟んでみよう」と考えたのです。その間に挟む結晶として考えたのが「窒化アルミニウム(AIN)」です。(95ページ)

どうして青色LEDノーベル賞物理学賞(2014)を受賞したのか?

青色LEDには固い結晶が必要で作るのが難しかった。1986年、天野氏は窒化ガリウム(GaNa)の結晶成長させる方法を確立した。窒化ガリウムとう材料をLEDに活かそうとしたのは天野氏の師匠に当たる、赤崎氏である。赤崎氏は1973年(!!) からこの研究を開始していた。

開発された青色LEDによって三原色が揃い、光源としてLEDが商用化されたのである。

誰が青色LEDを開発したのか?

 

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なぜ青色LEDがノーベル賞なのか?ー基礎的な研究背景編 | Chem-Station (ケムステ)

赤城氏が窒化ガリウム青色LEDを作ることに挑戦し、天野氏が具体的に結晶化することに成功し、中村氏が量産コストを下げることに貢献した。青色LEDは大企業間の競争、特許係争、など複雑な舞台裏があった。青色LEDの恩恵に浴する我々は、誰が開発したかより、多くの人の挑戦の積み重ねがあった、と知っておけばいい。そして何より、青色LED、あるいは窒化ガリウムを使った半導体の用途は未だたくさんある。我々はまだまだ豊かになれる。

蛇足

大きな挑戦は誰かが引き継いでくれる。

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