毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

今必要なのは革命を興すという覚悟である~『リソース・レボリューションの衝撃――100年に1度のビジネスチャンス』S・ヘック氏×M・ロジャーズ氏(2015)

リソース・レボリューションの衝撃――100年に1度のビジネスチャンス

 著者はマッキンゼーコンサルタント、欠乏は超ビッグビジネスの宝庫!マッキンゼーの最新レポートが描く、衝撃の資源・エネルギー革命(2015)

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第三次産業革命

スミスの代表作、「国富論」は生産性を決定づける3つのインプットから経済発展を描いている。それが労働力、資本、そして土地、つまり天然資源だ。過去の産業革命のたびに、この3要素すべての生産性が変化した。だが、飛躍的な変化を遂げたのは1回の産業革命において一つの要素だけだった。

第一次産業革命で大きく進化したのは労働生産性である。労働者が農地から工場に移り、蒸気機関によって一人の労働者が何人分もの働きをするようになると、労働生産性は劇的に向上した。以来、今日まで、企業は労働生産性の改善には力をいれている。

第二次産業革命で突出して伸びたのは資本の生産性である。莫大な資本が生産設備、高層ビル、機械装置、鉄道、橋などに投入された。その資本調達によって台頭してきたのが、JPモルガンなどの大銀行だ。

未だに効率が最大化されていないのは、スミスの3番目の投入要素、つまり土地と天然資源だ。・・・新しい中間層による莫大な需要に応えるために、第三次産業革命が賢く利用しなければならない投入要素が、この天然資源である。(35ページ)

リソース・レボリューション

 25億人の人口が中流層に加わり、工業技術と情報テクノロジーが融合すれば、資源利用のあり方が全面的に代わる。そこに革命的な変化が起きるチャンスを見たのである。(2ページ)

経営管理職は資本効率と労働生産性を必死に改善してきたが、ほぼ1世紀にわたってコモディティ価格が下がり続けていたために、すっかり油断していた。その結果、資本と労働の生産性が目ざましく向上したにも関わらず、資源の生産性は停滞した。リソース革命には、これまでにない経営へのアプローチが必要だった。(6ページ)

米国のシェールガスの場合

1981年、ミッチェルは頁岩層の探索を決意する。エンジニアからは狂っていると言われた。頁岩層からのガスの抽出は難しかったからだ。だが背に腹は変えられない。ミッチェルは心に決めた。これを何とか成功させる、と。当時ミッチェルは60歳に達していた。・・・資源がどこに存在するかはわかっていたが、経済的に見合うと考えた人はいなかった。・・・そこに至るまでに、18年に歳月が流れた。(69ページ)

ブレークスルーは水

ブレークスルーが生まれたのは、常識外れの材料を試したときだった。石油業界に長年蓄積された専門知識によると、井戸に水を注入すると頁岩がそれを吸収して膨張し、割れ目が開くどころか急速に多くの割れ目が閉じてしまい、岩石は破壊すると言われていた。それでもミッチェルは水を注入してみた。すると上手くいったのである。(70ページ)

これまでにない経営のアプローチ

 

著者はシェールガスの成功を2つに分けて説明する。一つは大きなチャンスにすべての力を注ぎ、誰もやっていなことを達成したこと。もう一つはシリコンバレーのテクノロジー企業の様にイノベーションを迅速に繰り返し、地中の画像処理に情報処理技術を駆使したこと。成功の秘訣は 「大きく考えること、そしてイノベーションの速度を早めること」とまとめる。産業が成熟しているからこそリソース・レボリューションが必要となる。既存の方法に比べ、50ー80%の改善があること、と表現している。

蛇足

 

改善ではなく、革命、ということ

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