毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ダークエネルギーはどうやって命名されたか?~『宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く』土井守氏×松原隆彦氏(2011)

宇宙のダークエネルギー 「未知なる力」の謎を解く (光文社新書)

土井氏、松原氏は現代宇宙論の研究家、宇宙の中に、膨張を加速させる「未知の力」が働いていることを意味する。宇宙は正体不明のダークエネルギーに満ちている―。(2011)

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アインシュタイン方程式

アインシュタイン方程式は、時空間の構造とそのなかにある物質の状態を等式で結びつけています。これは、時空間と物質が切っても切れない関係にあり、お互いに影響し合う存在である、ということを意味しています。(35ページ)

空間の縮小する宇宙

一般相対性路隣から導かれる重力の法則は、ニュートン万有引力を一般化したものです。物体同士がお互い引き合うという基本的な性質は変わりありません。多数の銀河が宇宙全体に静止していれば、銀河同士が引き合ってお互いの距離が短くなっていきます。(36ページ)

空間の縮小しない宇宙

空間の変化しない静止宇宙を実現するには、この空間の縮みを阻止する力が必要です。この縮みを阻止する力こそ、アインシュタインの付け加えた宇宙項だったのです。この宇宙項は宇宙全体に一様に広がっていて、何もしなければ空間をどんどん膨らませようとします。(36ページ)

宇宙項とは何か

宇宙項というのは、簡単にいうと空間に薄く広がったエネルギーです。物質がまったく存在しない真空中にも、宇宙項のエネルギーは存在します、そしてその体積あたりのエネルギーは一定です。そのエネルギーは宇宙が膨張しても薄まりません。空間が大きくなればそれに比例して全体のエネルギーも大きくなるのです。これは通常の物質とはまったく異なる性質です。(62ページ)

そしてダークエネルギー

宇宙に薄く広がり、空間が膨張するにつれて同じように増えていくようなエネルギーがあれば、宇宙項と同様の効果があり、宇宙の加速膨張を説明できます。・・・それがいったい何なのかは、まったくわかっていません。そのため、シカゴ大学マイケル・ターナーは、その何ものかわからないエネルギーのことを「ダークエネルギー」と名づけたのです。(64ページ)

f:id:kocho-3:20150905155635p:plain(37ページ)

 
ダークエネルギーという言葉

 

20世紀初め、ハッブルは銀河系外の銀河を観察した。そして宇宙が膨張していることを確認した。宇宙の膨張は宇宙項が存在していることを示す。

宇宙項に物質あるいはエネルギーとしての名前をつけたものがダークエネルギーである。1988年宇宙論研究者のマイケル・ターナーは「宇宙項」あるいは「反発する重力」をダークエネルギーと命名した。名前はついたがその仕組みは未だ未解明である。名前があれば仕組みは分からなくても存在する。

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「加速膨張する宇宙」2011年ノーベル物理学賞の意義 後編 | KEK

蛇足

 命名とは抽象概念を具体的存在に置き換えること

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