毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

大企業で"出世"するルールを知っていますか?~『ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか 』梅田 望夫氏(2007)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

 梅田氏は米国在住の経営コンサルタント、現代は、江戸から明治に匹敵する「時代の大きな変わり目」だ。ウェブという「学習の高速道路」によって、どんな職業の可能性がひらかれたのか。(2007)

  

 

本書ではネットが国家、大資本、大組織などよりも個人や小資本の親和性の高い技術である、という立場から執筆されている。本書のなかで逆に大企業での働き方について言及した箇所がある。

 

大企業で成功する秘訣

私は20年近く、経営コンサルタントとして顧客企業の仕事仲間や友人、各界の先輩たちの仕事ぶりを眺めながら、大組織に働く人々を観察し続けてきた。その研究から、大組織で成功できる要素は、私なりにかなり明確にわかってきたつもりである。

①「配属」「転勤」「配置転換」のような「自分の生活や時間の使い方を他者によって規定されること」を、「未知との遭遇」として心から楽しめる。

②与えられた問題・課題を解決することに情熱を傾けることができる。その課題が難しければ難しいほど面白いと思える。

③Whatへの「好き嫌い」やこだわりがあまり細かくなくおおらかで、一緒に働く人への「好き嫌い」があまりない。仮にあっても、苦手(つまり「嫌い」)を克服すうことを好む。

④「これが今から始まる新しいゲームだ」とルールを与えられたとき、そのルールの意味をすぐに習得してその世界で勝つことに邁進することに興味を覚える。

⑤多くの人と力をあわせることで、個人一人ではできないことができるようになる充実感を覚えるチームプレーヤーである。

⑥「巨大」なものが粛々と動くことへの関与・貢献に達成感と充実感を感じ、長時間長期の「組織へのコミットメント」をいとわず、それを支える持久的体力にすぐれる。

⑦組織への忠誠心や仕事における使命感のほうが、個の志向性よりも価値が高いと考える。(93ページ)

大企業はあなたにフィットしていますか?

日本人であれば特に学校教育を通じ、これらの①~⑦の訓練を受けている。多くの人が程度の差こそあれ、受容していると考えてよいであろう。大企業のなかで“出世”を競うレースはどういうレースなのか?それは①~⑦の内容を僅差で競うレースということになる。

レースのルールを知ることは大きなメリットである。同時にわずかな差をつけることはそう簡単ではないことに今更ながら気づく。仮にこのルールが本質的に気に入らなければ他にもっと活躍できる場所を探せばいいと判断ができる。

梅田氏はwebという大企業の外からの視点で大企業で働く人々を見つめてきた。だからこそ抽象化された言語表現にすることに成功している。

蛇足

webは学習の高速道路(言語化された情報は効率よく過去の叡知を吸収できる)

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