毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

自己に限界を設けない、多重人格のススメ~『は、誰もが「多重人格」~誰も語らなかった「才能開花の技法」』田坂 広志 氏(2015)

人は、誰もが「多重人格」~誰も語らなかった「才能開花の技法」~ (光文社新書) 田坂氏はビジネス書の著者、一流の経営者は、昔から「多重人格」、「多重人格」とは、精神の病ではない。(2015)

 

リーダーは多くの人格を使い分ける

 

全社員の前で会社の将来ビジョンを語るとき、「ロマンと情熱」を持った人格が前面にでてこなければ、社員の心に火をつけることはできないでしょう。一方、経営会議で経営陣を吐いてに収益計画の話をするとき、「数字の鬼」とでも呼ばれるような厳しい人格が前面にでてこなければ、企業の存続さえ危うくすることがあります。そして、若手社員に対しては、「優しい親父」といった人格で接する一方、幹部やマネージャーに対しては、「強いリーダー」の人格で処する必要があります。(26ページ)

スピーチでも

 

 

私は、世界経済フォーラムの年次総会、ダボス会議で、毎年、各国の大統領や首相のスピーチを聴きますが、イギリスの元首相、トニー・ブレアなどは、一つのスピーチの中で、幾つもの人格を使い分けて話しをしますね。スピーチの冒頭、卓越なジョークで聴衆の心を掴んだかと思うと、テロとの戦いなどの話になると、鋼のような信念を語り、話題がNPOなどの社会貢献の話になると、爽やかな笑顔で、聴衆の心にしみ入る話をします。見事に人格を切り換えて話をしますね。(27ページ)

 

多重人格を切り換えるには

 

(人格の切り換えのできる人は、例えば会議の議事録をメールで送付する場合に)冒頭は、会議が良き学びの機会であったことに感謝する「素直で謙虚な人格」、本文は、合意条件に認識違いがあってはならないという「慎重で几帳面な人格」、最後は相手の健康に配慮した「温かく思いやりのある人格」でメールを買いているのです。(50ページ)

メール一つ、電話一つでも、細やかに人格の切り換えを行ないながら、相手に対応するという修業を積むことです。(53ページ)

器の大きな人物とは

 

 

日本語で「器の大きな人物」という言葉がありますが、この言葉の本当の意味は、「自分の中に、幾つの自分、幾つの人格を持つことができるか」という意味での「器」なのですね。従って、昔から日本では、そうしたことができる政治家か経営者を、「器の大きな政治家」「器の大きな経営者」と呼んできたのです。

 

一つの人格に囚われている

 

我々は一つか二つの多くない人格に囚われている。日常生活ではそれが効率的だからだ。田坂氏は多くの人格を持っていい、と主張する。は未知のこと、苦手なことに挑戦したとき、本人すら知らなかった別人格を発見することができる。

人は少ない人格で対応したとき、周囲から頭の堅い人だ、と言われる。もちろん優秀な営業マン向きの人格は営業成績を上げることにはプラスかもしれないが、他のチャンスを抑制してしまう。

我々は資本主義という仕組みの中で生きている。数字を求めることに価値を求める「人格」が優先されていることに気づくべきである。これだけが暴走すると不正をも許容することになってしまう。人は誰でも、器を大きくして複数の人格で語ることができるはずである。

蛇足

 

いかにして、自己限定を脱し、才能を開花させるか?(243ページ)

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