毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうして「あいてて、よかった!」のコピーは人の心に残っているのか?~『「売り言葉」と「買い言葉」―心を動かすコピーの発想』岡本 欣也氏(2014)

 「売り言葉」と「買い言葉」―心を動かすコピーの発想 (NHK出版新書 412)

岡本氏はコピーライター、「伝える」という手段が目的になってしまい、本当の目的である「動かす」にまで思いがいたっていないという印象です。(2014)

 

 

売り言葉とは、売り手の目線で書かれたコピーのことで、買い言葉とは、買い手の目線で書かれたコピーのことだと定義してみたのです。

売り言葉

 

 

事実を伝えながら興味がない人を振り向かせることが売り言葉の一番の目的と言えます。売り言葉を別の言い方で表現するならば、それはほからの商品との違いを伝える言葉なのだと思います。つまり、新しい機能、新しいデザイン、新しい価格、新しいサービスなど、ほかと差別化できる、商品そのものがもつ特徴をできるだけわかりやすく伝える言葉と言えます。(46ページ)

 

買い言葉

 

 

買い手目線で書かれた買い言葉とはどういうものかというと、同じであることを伝える言葉である、と僕は思います。「同じであること」を伝えるとは、もう少し具体的に言うと、それは「ウチの企業はあなたの気持ちをわかっていますよ」とか、「この商品はあなたの味方ですよ」といった具合に、売り手と買い手がいかに近しい関係であるかを伝えることです。(98ページ)

 

心を動かすコピーの発想

 

「ど真ん中の価値」を探す(人を動かす言葉を作る為に①)

「ど真ん中の価値」とは、伝えたいことにいちばんの中心にある価値のこと。わかりやすく、一言で言えて、それがないとすべてが台無しになってしまう何かです。「本質」ということ言葉にも言い換えられます。(162ページ)

自分をしつこく取材する(人を動かす言葉を作る為に②)

(自分を取材しても)キレイごとが無自覚に浮かぶし、深く考えず一般論に終始することもあるので、たてまえを丁寧にはがしながら、本音をあぶり出す必要があります。人に言えない恥ずかしい思い。弱くて、情けない思い。人間くさし、そうした感情のすべてと向き合い、ひも解いていくのです。・・・そうやって見出した、自分の本音。それをたよりに「ど真ん中の価値」を探りあてていくからこそ、リアルで、人の心を動かす言葉を生み出すことができるのだと思うのです。(169ページ)

100案書く(人を動かす言葉を作る為に③)

いいアイデアを考えるためには、できるだけ深く考えることが大切です。・・・どんどん発想を広げていかないと、考えは深くならない。それからもうひとつ、なぜたくさん考えなくてはならないかと言うと、言葉には正解がないからです。・・・あらゆる可能性を考え、ひとつひとつ検討していくしかない。おそらくそれが正解に近づくかたの、たったひとつの道だと僕は思います。(172ページ)

心を動かすコピーの発想

 売り言葉が人を振り向かせるための発想であり、買い言葉が共感を呼ぶための発想法、そしてこの二つの発想が加わったとき人の心を動かすコピーが生まれる。「あいててよかった」(1977年 セブンイレブン)コピーに例をとる。セブンイレブンが営業していることの嬉しさが買い言葉である。とセブンイレブンの年中無休という機能が売り言葉)である。そしてこの2つの発想法がひとつのコピーに合体している。そもそもこのコピーがそろそう40年前にできてなおかつ人の心に残っていることに驚く。

f:id:kocho-3:20150721065405p:plainhttps://www.youtube.com/watch?v=RPN5jttgq1g

売り言葉と買い言葉、この視点を持って100案考えるときに名コピーが生まれる。ひらめきとか偶然でできたのではない。

蛇足

 最後にはたくさん書いた人が勝つ。(173ページ)

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