毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

日本だけでなく、アメリカ・中国でも、原油はピークアウトしているのかもしれない~『不確実な未来を生き抜くための「経済史」』増田 悦佐 氏(2015)

不確実な未来を生き抜くための「経済史」 (SB新書)

増田氏は証券アナリスト、目一杯大きな視野から世界と日本の経済史を振り返ることで見えてくる経済の原理、資本主義のカラクリ。経済史をひもとけば、日本の進むべき道と私たちが今後生き残る術も見えてくる! (2015)

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アメリカは資産格差が拡大し続ける。

資産格差が大きな国ほど経済成長率が低い」という法則を実証

 

中国は投資回収が悪化

 

 

2本柱の一角だったアメリカの輸出がうまくいなかくなったことで、中国はますます(2本柱のもう一つである)投資に傾斜していきます。普通の国民経済だと消費が60-70%、投資が20-25%、残りが政府投資や純輸出ですが、中国では45%が投資で40%が消費、残り15%が純輸出という、とんでもない構図になってしまいました。そしてこの投資のために、中国はすごい量の天然資源やエネルギー資源、金属資源を買い続けましたが、この過剰投資体質が維持できない段階まできています。・・・それを象徴しているのが、昨今の原油価格の低下です。(投資回収の悪化によって)中国に資源を購入する資金力がなくなり、高騰していた原油の値段が元に戻ろうとしているのです。(79ページ)

 

アメリカでもエネルギー消費はピークアウト

 

 

今回のエネルギー価格暴落で露呈した本当に深刻な問題は、・・・アメリカ国民がエネルギー消費に回せる予算のシェアがじりじり低下している点にあります。国際金融危機サブプライムローン・バブルの崩壊につながった2008年は、アメリカのエネルギー消費GDPに占めるシェアは大天井となりました。この年9.6%にまで上がっていたエネルギー消費のシェアは、経済全体としては回復に転じていたはずの2011年以降2014年まででさえ、9.0%から8.0%へと顕著な下降が続いています。アメリカ国民のあいだで貧富の格差が拡大している現状を考えれば、この傾向が逆転する可能性は非常に低い。つまり、アメリカ国内のエネルギー需給は、この先10年や20年では好転しないはずです。(170ページ)

 

エネルギー消費

 

中国が世界の資源を囲い込んで中国国内の投資に当てる、というサイクルが上手く循環していないとする。そして同様にアメリカでは所得格差の拡大で個人のエネルギー消費がこれ以上増えないとする。著者はこの二つの流れが原油価格の低下を招いたと主張する。

 

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WTI原油先物 (NYMEX) | マーケット情報 | 楽天証 

日本でもエネルギー消費は既にピークアウトしている。これから経済発展を迎える地域でも既に実用化されているエネルギーを効率的に使用する仕組みが使われるとする。人類は既にエネルギー消費のピークアウトを程なく迎えるのかもしれない。

私は食糧問題は既に解決した、そしてエネルギー問題も本質的に解決したとする。そこで我々は何をするのか?「何のために生きるか」が更に高次元で問われる時代がやってくる。

蛇足

 

人類の究極の問いに答える為に、あなたならまずは何をしますか?

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