毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

「私のことなんて誰も分かってくれない」と思った時考える事~『論理力短期集中講座』出口 汪 氏(2010)

「論理力」短期集中講座 (フォレスト2545新書) 

出口氏は大学受験「現代文」の元祖カリスマ受験講師、そして作家。予備校で現代文の入試問題の解き方を教えるうちに、論理的な言葉の使い方がだんだん身に付いていったのです・・・(単行は2006、新書化は2010)

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論理力短期集中講座

  本書の目的は、「誰にでも伝わる正確な文章を書くこと」と「頭を鍛えること」の二つです。

論理的文章を書くための6つのルール

 

  1. 主語と述語で要点をつかむ。
  2. 言葉のつながりを見る
  3. 文と文のつながりを見る
  4. 因果関係を見る
  5. イコールの関係を見る
  6. 対立の関係を見る

これは「①から③は文章の構造に注意を払う」、「④から⑥は原因と結果をYes/Noの二進法に整理をして表現する」の2つにとまとめられる。文章全体、一文一文の構造に注意してYES・NOの関係を見つけるという事になろう。

あなたのことなんて誰も分らない=他者意識

 

 

お互いに価値観も感覚も異なる人間同士が、正確に物事を伝え合おうとするとき、私たちは当然すじみちを立てて説明しようとします。簡単に分かり合えるなら、人は長い時間をかけて、論理力を鍛えていく必要なんてなかったはずですよね。(30ページ)

 

論理

 

 

自分の考えを分かってもらうには、規則に従った正確な言葉の使い方を身につける必要があります。それが論理なのです。(32ページ)

 

論理の反対は感情

 

 

人間が最初に習得する言葉を、感情語といいます。正確にいうと、感情語は最初から肉体にこもっています。イヌやネコが「ワン」とか「ニャア」というのも感情語です。(34ページ)

 

確実に伝える工夫~小見出し

 

 

他者意識を持つと、自分のことは相手にはなかなか理解されないという意識が前提となってくるので、必ず「今からこのことについて話すよ」と話題を提示し、次にそれについて説明していきます。(124ページ) 

文章を要約しよう~抽象化

 

抽象とは「共通点を取り出す」ことをいいます。これだけではわかりにくいと思うので、例を出して説明します。

      りんご  みかん  もも  ぶどう  柿  → 「くだもの」

これら5つの言葉を抽象化すると「くだもの」になるのです。逆に、「くだもの」を具体化すると、りんごやみかんなどになるわけです。(133ページ)

何の為に人と話し、何の為に文章を書くのか?

 

それは自分の考えたことを伝えたいからである。

言葉の定義が感情語では共有され得ない。抽象的過ぎても具体的すぎても理解されない。

思考を論理的に展開すれば他者に理解される。説明には抽象と具体の両方が必要である。

出口氏は本書で6のルールを"論理エンジン"と呼ぶが、コンピュータの二進法(Yes・No)ですべての論理が表現できることを連想させる。論理とはYES・NOであり、イコール・対立であることに今更ながら気付かされる。

 

出口氏は現代文の入試問題を例に、論理的に文章を読む方法を説明する。

私が受験生だった頃、この本はまだ出版されていなかった。(残念)

蛇足

 

本書を一言でいうと「誰も自分のことを分らない」

蛇足の蛇足

 

「誰も自分のことを分らない」を抽象化すると「他者意識」

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