毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ムーアの法則が教えてくれる、未来のつくり方~『未来のつくり方 シリコンバレーの航海する精神』池田 純一 氏 (2015)

〈未来〉のつくり方 シリコンバレーの航海する精神 (講談社現代新書)

 池田氏はメディア・コミュニュケーション分野の実務家、なぜアメリカは“未来”を語り続けるのか?GoogleAmazonFacebookが目指すものとは?なぜ、すべてアメリカで生まれたのか?(2015)

 

 

ムーアの法則

 

 

ムーアの法則とは、Intelの創業者であるゴードン・ムーアが今から半世紀前の1965年に発表した法則で、コンピュータの演算能力は18カ月で2倍になるというものだ。つまり、10年で100倍、20年で1万倍となる。この法則によって、情報技術(IT)は、指数関数的な成長が約束される。その見通しが次なる投資を呼び込み、イノベーションのサイクルを生み出している。(11ページ)

 

ムーアの法則は50年間必死に守られてきた

 

 

ムーアの法則はあくまでも経験則であり、提唱者であるムーア自身ですら65年の発表時点で、法則が適用できるのはせいぜい10年程度と見ていた。だがその見立てに反して、50年ものあいだほぼ成立し続けてきた。もちろん、法則が成立するのは、誰かが法則を崩さないように、新たな半導体チップを製造し続けてきたからだ。となると、ムーアの法則は、法則といいながら、その実、半導体工学の研究者の行動を律する「目標」として機能したことになる。(13ページ)

 

ムーアが提供する機会

 

 

ムーアが与える未来は、進歩といっても、個人としての理想ではなく、皆の間で共有できる機会として受け止められている。可能性としての機会に具体的に取り組むことで、その可能性に孕まれた未来が現実になる。・・・デスティネーション(最終目的地)を与えるのはムーアの法則であり、羅針盤は、その都合新たに開発されるテクノロジーである。(15ページ)

 

f:id:kocho-3:20150616083158p:plainムーアの法則 - Wikipedia

語られるデスティネーション

 

 

(大きな事業計画という)大望が望まれる(シリコン)バレーでは、しばしばBetter World、Better Fututeという表現が発せられる。・・・常に最初は私秘的な-私ないし誰かにとっての-Better Worldである。その大望をまずはすピークアップ(公言)した上で、おもむろに賛同者を増やしていく。極めて私的な発想を公的な了解事項へと転換させようと試みる。その活動を支えるのがメディアでありデモクラシーだ。(97ページ)

 

未来の作り方

 

未来はやって来るものか、築きものか?ムーアの法則の上に存在するシリコンバレーは未来とは自分達で築き上げるもの、という価値観に立っている。1965年にゴードン・ムーアによって提唱されたムーアの法則は未来学者カーツワイルによって2045年まで拡張された。ムーアの法則は今後も技術者の努力によって守られていくであろう。ムーアの法則は自動的に達成されるものではなく、法則を信じて努力をする人が「自ら構想し、自ら実現」していた。

未来とは様々な未来が並列して成立するものでもある。自分の描いた未来を語れば語るほどその未来は大きく確実になっていく。

蛇足

 

Futureの語源はラテン語由来のto be、自分が変わるということ。

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