毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

スナック菓子に学ぶあなたの"オンリーワン"のつくり方~書評『ポッキーはなぜフランス人に愛されるのか?』三田村 蕗子氏(2015)

「ポッキー」はなぜフランス人に愛されるのか? 海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣

三田村氏はフリーのジャーナリスト、スーパーで売っているごくごく普通のスナック菓子もまた、海外の消費者に高く評価され、着実にマーケットシェアを伸ばしています。(2015)

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 日本のスナック菓子

 

 

日本のお菓子は世界中で販売されている。台湾のコンビニなどは、日本のスナック菓子で席巻されていると言っても過言ではない。あまりに日本製が多いので、「Made in Taiwan」の土産菓子選びに困るほどだ。・・・「じゃがビー」「ポッキー」「コアラのマーチ」「カラムーチョ」「カール」「ベビースターラーメン」「ハイチュウ」「たべっ子どうぶつビスケット」といった日本のロングセラーがならぶスナック菓子売場に行きあたる。(4ページ)

 

実はグローバル商品だった

 

 

原料の調達から商品が店頭に並ぶまで安心安全を追求し、大量生産で味をムラなく均質に保ち、使い勝手のいいパッケージに包む一連のプロセスは、おそらく世界のどの国も真似できない日本の強み。・・・小さな商品だが、可能性は大きい。単価は安いが、将来性は高い。安くて小さなスナック菓子は閉鎖的な超ドメスティック製品のように見えて、じつは7つの海を軽々と渡る実力派のグローバル製品だ。(7ページ)

 

ロイズの生チョコ

 

 

高い独自性を誇るチョコレート菓子といえば、ロイズコンフェクトの「生チョコレート」も見逃せない。・・・水分含有量が高いため、口当たりが柔らかく、口に入れるととろけるような食感のチョコレートは、生粋の日本生まれで日本育ち。ロイズでは、いまシンガポールや中国、アメリカ、ロシア、ブルネイUAEなど14の国と地域に70の店を構えている。商品はすべて日本からの輸出だ。

 

 

ニューヨークには安いものから高級品まで、チョコレートの選択肢が豊富にある。でも「生チョコ」はいまのところほぼロイズだけ。だから、アジアでも中東でもイスラムの国でも、先進国の大都市でも受ける。お菓子の海外進出に必要なものは、一にも二にも「ほかにはない独自性」だ。ロイズは、それを身をもって証明している。(105ページ)

 

f:id:kocho-3:20150424074103p:plain商品検索 - ロイズonline

三田村氏の愛

 

 

日本のお菓子を食べていつも思うのは、技術の高さ、ネーミングの楽しさ、見た目の可愛さ、容器の精巧さ、バリエーションの豊富さです。・・・世界中にもっと知られていいはず。(237ページ)

 

私の知らない世界

 

本書は海外で成功するローカライズ・マーケティングの秘訣についてのビジネス書。その成功法則をまとめれば、「オリジナリティの高い商品、ターゲットに届きやすい流通チャネルの開拓、現地に最適化した味や価格」が前提条件になると言う。

オリジナリティという観点からロイズを引用させて貰ったが本書では様々なスナック菓子のストーリーが展開される。

スーパー・コンビニに並ぶ菓子は「流通菓子」と呼び、その市場規模は1.9兆円。本書はマクロではなく、流通菓子一つ一つに独自のストーリーがある事に気付かさせてくれる。そして独自性は物凄いテクノロジーではなく、味、パッケージ、ネーミング、少しの差が幾つも重なって世界唯一になれる。

蛇足

誰でも重ね業でオンリーワンになれる

 

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