毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

知性とは記憶から予測をすること、脳科学とコンピュータが融合する時~『考える脳、考えるコンピュータ』ジェフ・ホーキンス(2005)

考える脳 考えるコンピューター

ジェフ・ホーキング氏はハンドヘルコンピュータの第一世代であるPalmの生みの親である。コンピュータの技術者である彼がどうして脳の本を書いたか?(2005年刊)

 

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脳は階層と、下の階層から入力を受け取り、下野階層に予測を出力している。

 どうして新しい物に気づけるか?

 

 

 

いままでに見たことのなし物体が部屋にあったら、何がおこるのだろうか?たとえば、青いコーヒーカップがあったら?答えは単純だ、それがこの部屋のものではないことに、私は気づくだろう。それは新しい物体として、注意を引くだろう。・・・何かが違うことに気づくなのだとすれば、脳のニューロンでそれまで興奮していなかったものが、興奮しなければならない。・・・人間の脳は蓄積した記憶を使って、見たり、聞いたり、触れたりするものすべてを、絶えず予測しているのだ。(100ページ)

 

知能とは予測すること

 

 

予測は脳の単なる一つの働きではない。それは(脳の)新皮質の「もっとも主要な機能」であり、知能の基盤なのだ。新皮質は予測のために存在する生態組織といってもかまわない。知能とは何か、創造性とは何か、脳はどのように働いているのか、知能を備えた機械はどうすればつくれるのか、・・・・人間の行動でさえ、予測の副産物と解釈すると、もっとうまく説明できる。(104ページ)

 

脳理論~脳は予測をたてる

 

 

(脳の)新皮質が感覚の入力を受取り、それを処理し、必要な行動をとるという観点で脳の働きを解明しようとするかぎり、上場に逆方向の流れは不要だ。・・・だが新皮質の重要な機能が予測をたてることだと気づいた途端に、脳のモデルは逆方向のつながりが必要となる。最初の入力を受けとる領域へと、情報を送り返してやる必要がある。予測をするためには、起きると思ったことと実際におきたことを比較しなければならない。実際に起きていることが階層をあがっていき、起きると思うことが階層を下っていく。(128ページ)

 

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考えるコンピュータはできるか?

 

 

知能を備えた機械が人間と同じ姿、振舞い、感覚を持つ必然性はない。知能とは階層的な記憶の中のモデルを通して世界を理解し、それに働きかける能力だ。・・・知能を判定する基準は、階層的な記憶の予測をたてる能力であり、人間的な振る舞いではないのだ。(227ページ)

 

考える脳、考えるコンピュータ

 

 

学問の世界では、ビジネスの世界ほどリスクが受け入れられない。科学技術のビジネスでは、新しいアイデアを適切な方法で追求すれば、それが商品として成功したかどうかにかかわらず、本人の経歴として評価されることがある。・・・わたしは人生で二つの情熱を同時に追い求めることにした。ビジネスで成功すれば、脳の解明もうまくいくと持ったのだ。(まえがき)

 

本書は多くの示唆に富む。知能とは記憶から予測をする事であり、創造性とは既存のものに新たな変化を付け加える事と言う。どうして我々はジンクスを信じるか?あるいは占いに関心を持つのか、予測をする事が知性の本質だからとも言える。

そして、もう一つビジネスと学問の二つを追求する複眼の発想が大きな成果をもたらすと実感させてくれる。

蛇足

 

予測に使っている記憶はあなたの望んでる目的に合致しているか?

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kocho-3.hatenablog.com