毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

VISAカードの歴史からお金の本質が見えてくる、それは“価値が移動したという情報“に過ぎない~『混沌と秩序』VISAカード創業者ディー・ホック氏(2000年)

本書の著者ディー・ホック氏はVISAの創業者。ディー・ホック氏は1968年にVISAの前進を立ち上げるが、本書でクレジットカードビジネスの本質を記している。

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VISAのコマーシャルに"price less"というのがあったが、、、

VISAカード

 

VISAカードは1958年のにBank of Americaが発行したクレジットカード起源に持つ。VISAのWebには70年代に2つの革新的な事があったと書かれている。一つはBank of AmericaからVISAという独立組織に分離した事、もう一つは電子認証システムをスタートさせた事である。

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History of Visa – Visa Corporate

 

クレジットカードの機能①~本人確認機能

クレジットカードは運転免許証や社会保障カードと同じ、身分証明書である。カードの第一の機能は、売り手に買い手を、買い手に売り手を確認させることにある。

クレジットカードの機能②貨幣交換システムの保証人

クレジットカードは、売り手買い手ともに、それぞれの自国通貨で取引きできること、つまり貨幣交換システムのメカニズムも保証している。

クレジットカードの機能③~価値情報の創造と移転

カードを刻印機に通すということは、会計士の情報を文字や数字などのデータに変えて発する事を意味している。それは、ペンや紙と同じ役割を果たしている。

クレジットカードの本質は?

 

 

カードは、価値の交換を行うための単なる道具であり、たまたまシンボルマークの付いたプラスチックであるに過ぎない。クレジットカードビジネスの本質は、価値の交換にあるのだ。(177ページ)

 

Value Exchange Card

 

著者はクレジットカードという名称は誤解を与えると言う。クレジットカードビジネスが1960年代に消費者向け融資業務の一環として始まった時の“なごり”であり,与信機能は付帯サービスに過ぎないと言う。Value Exchange Cardが実態を表現している

Value Exchange Cardとお金を比較する

 

 

お金とは、価値のない金属や紙によって運ばれる、文字や数字で表現されたシンボルに過ぎない。・・・お金とは、国家等の通貨のシンボルとして保証された、文字や数字のデータに過ぎない。銀行もまた、そのデータを管理、交換、貸与しているに過ぎないのである。(174ページ)

 

プラスチックの“Value Exchange Card”そのものの価値は極めて低い。「価値を交換できる事」に価値があるのだ。お金が国家のシンボルによって保証されているとすれば、“Value Exchange Card”は何によって保証されているか?それは価値情報の創造と移転がコンピュータによって迅速かつ正確に行われているという事実そのものにより保証されている。だからこそVISAは電子認証システムをその当初から導入を検討したのである。“Value Exchange Card”もお金も「価値が移動したという情報」を伝達しているだけである。

蛇足

 

お金をかけなくても、価値を贈る事ができる。どういう方法があるか、考えてみる。

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