毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

様々な国籍の人々が集まる東京、そこはトーキョーだった~『異国トーキョー漂流記』 高野 秀行 氏(2005)

異国トーキョー漂流記 (集英社文庫)

 高野氏は冒険ライター、「私」には様々な国籍のユニークな外国人の友達がいる。彼らと彷徨う著者の眼に映る東京は、とてつもなく面白く、途方もなく寂しく、限りな

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く新鮮なガイコクだ。(本書裏表紙より)2005年刊

コンゴより愛をこめて

 

ジェレミーは私にスピーチを頼んだばかりか、通常は家族とごく親しい親族しか参加しない「式」にまで私を呼んだわけは、披露宴の出席者をみてわかった。新婦は日本人だから、親族や友人が大挙して参加しているが、新郎側はたったの7人。アフリカ人と欧米人が二人ずつ、そして彼が通っていた空手塾の幹部が二人。・・・つまり、日本人の友人としてし出席したのは私一人であった。10年以上にも及ぶ日本生活で、結婚式に呼べる日本人の友人が私一人だけか。自信に満ち溢れ、高級フランス料理店のような彼が、日本人社会では孤独な異国人だったことを初めて知った。71ページ

 

異国の地トーキョー

著者の高野氏はアフリカ探検の為にリンガラ語を学ぶために慶應大学の博士過程に留学していたジェレミー氏と出合う。高野氏はコンゴに居るジェレミー家の人々とも交流、ジェレミー氏の兄がフランス語で書いた小説を翻訳するまでになる。そのジェレミー氏から3年ぶりに連絡を貰い、彼の結婚式に出席する事になるのである。高野氏は披露宴でスピーチをする。

 

「ふつうコンゴでエリートとなるのは裕福な過程の人が多いですが、ジェレミーは例外です。彼の実家は決して裕福ではありません。お父さんは小学校の先生を長くやっていた実直な方です。お金はないけれど、子供の教育には熱心だったようです。」71ページ

 

スピーチで新婦の家族からも安心して貰ったという体験を語る。異国の人と結婚する日本人の新婦も不安なら、異国の地で親族の居ない新郎も不安だった。

外国の街、トウキョー

 

私は東京に住み、多くの外国人に会う。ほとんどが挨拶すらしない。コンビニの店頭だったり飲食店だったり、必要な言葉を一言、ふた言、交わすだけである。彼らは異国の地に来ているのである。日本人社会では「孤独な異国人」なのである。我々が見慣れた風景は異国人にはどの様に映っているのであろうか?東京に生まれ育った人にとっても、東京にいる異国人にとっても同じ場所に居ながら違う風景“トウキョー“をみている。「コンゴより愛を込めて」はそれに気づかせてくれた

蛇足

 

異国人に挨拶をなげかえてをしてみよう。

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