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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

現代分子生物学は、25年前に「心身は一体」に科学的解釈を与えていた~『精神と物質』利根川進×立花隆(1990)

生物

精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)

  抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明でノーベル生理・医学賞を受賞した1987年、立花氏が利根川氏にインタビュー。1990年刊f:id:kocho-3:20150212083910p:plain

遺伝子上のエクソンの一つ一つが別々の遺伝子だった

 

 

DNAは様々な遺伝子が組み合わされたもの

 

 

一つのエクソンはもともと、それ単独で一つの遺伝子だったんじゃないかと考えられるわけです。原始的で単純な微生物が、より複雑で高等な生物に進化していくとき、遺伝子も単純で短い遺伝子から複雑で長い遺伝子に進化していく。・・・もともと一つの遺伝子であった部分の前後にイントロンが入ってくるという形になる。・・・遺伝子が組み合わさるとき、そのスペーサーの部分も遺伝子にひきづられていく。それがイントロンになる。(300ページ)

 

遺伝子には生物の歴史が刻まれている

 

 

人間や動物みたいな高等な動物が一挙に生まれるわけはないのであって、そこにいたるまでに長い進化の歴史があるわけですね。進化というのは、遺伝情報の変化の積み上げだから、遺伝子の上にその歴史が刻印されていて当然なんです。複雑な遺伝子が突然誕生するとは考えられない。(301ページ)

 

遺伝子は選択の余地を持つ

 

 

抗体遺伝子が高頻度に突然変異を起こす。その中からもっとカギ穴に合うものが出てきたら。それに増殖しろという命令が下る、・・・抗体遺伝子の研究からいえることは、遺伝子が生命減少の大枠を決めているが、ある程度偶然性が働く余地を残しており、環境は、この偶然性に基づく多様性の範囲内で選択を行うことができる、ということです。(322ページ)

 

抗体遺伝子からわかった事

 

利根川氏はマウスの抗体遺伝子を胎児の段階と成熟した段階(抗体が生成された段階)を比較し、抗体遺伝子が事後的に変化している事を発見し、それによりノーベル生理・医学賞を受賞した。この過程で抗体遺伝子の変化(遺伝子の結合)によりイントロンという空白が遺伝子に形成される事を発見した。

生物の遺伝子には抗体遺伝子以外にもイントロンと呼ばれる部分がある。抗体遺伝子の研究から生物の遺伝子もまた多くの遺伝子が結合されてきたと解釈した。

分子生物学における遺伝子の解釈

 

現代の分子生物学の認識は、遺伝子もまた偶然性と選択性を持つという事。そして我々の遺伝子には生命の歴史が刻まれており多くは使われていない。生物は、必要となれば今は使われていない遺伝子を活性化させて分子生物学的に対応ができる。

ヒトは意志で遺伝子を活性化できるか?

 

私は遺伝子の活性化を、「神経システムが生み出す感情」が「分子生物学でいう遺伝子=物質上の情報」から有用な情報を引き出せる、と解釈した。精神と物質は一つのものであるし、我々は内にあるものから見つけ出すだけで良いという事になる。

蛇足

 

分子生物学は一人一人の遺伝子自体が生命全体の記憶である事を示している。

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