毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

読書は脳の進化と新たな思考をもたしてくれる!~『プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?』

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?

ウルフ氏は認知神経学の研究家。読字(書)は、脳の編成の最も基本的な設計原理がいかにして、絶えず進化し続ける私たちの認知プロセスを支え、構築していくかを教えてくれるのだ。2008年刊

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読書リテラシーの高い人の脳は全体が活性化している

リテラシーシナプスレベルで変化を生じさせる

 

 私たちが文字を読むと、それぞれの脳は生理学的にも知的にも果てし無く変化する。たとえば、ニューロンレベルで言うと、漢字を勉強している人は英語を読む時に使う経路とは大いに異なる、実に独特な一連のニューロン接続をする。(19ページ) 

熟練した読み手とは

 

 熟練した読み手はさまざまな読解プロセスを用い、さらには意味プロセスおよび統語プロセスと、それぞれに対応する皮質領域をすべて駆使して、文章を読み解く。・・・脳のさ様様な領域を駆使するようになった熟達した読み手は、拡大を続ける知能の進化の行ける証である。(243ページ) 

熟練した脳は読書と平行して思考し続ける

 

  超越して思考する時間という不思議な目に見えない贈り物は、文字を読む脳の最大の功績だ。この天与の数ミリ秒が、知識を向上させ、徳について熟考し、かつては表現できなかったことを明確に表現する能力の基盤を形成する。(336ページ) 

 

読書リテラシーは後天的なもの

 

字を認識する能力は遺伝子レベルでは存在しない。視覚を概念形成機能および言語機能と統合する脳の働きを活用している。脳機能は脳が活性化している分野を特定する事で読書のロジックがどの様になされているかを解明しつつある。読書に慣れた人の脳は、単語の意味や背景、記憶にある様々な概念など、文章の複雑な要素を統合して認識する。そしてそれが新しい概念を想起させる事になる。

読書が脳にしている事

 

読書は脳にシナプスで新しい配線を創る事になる。そして同時に知識の量を増やし読書のスピードを加速させる。更にそれはシナプスを拡張させる。読書は脳を物理的にもプログラミングし続けている。それでは常に進化し続ける脳で読書をする意味は何であろうか?

読む事の目的

 

 読書の目標は、著者の意図するところを越えて、次第に自立性を持ち、変化し、最終的には書かれた文章と無関係な思考に到達する事にあるのだ。読字は、体験すること自体が問題なのではなく、むしろ、ものの考え方を変え、文字通りにも比喩的にも脳を変化させる最良の媒体なのである。(36ページ)

蛇足

読書は脳を物理的に変化させる

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