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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

グローバル・サプライチェーンのスマイル・カーブを凹ませたのはコンテナだった?~『コンテナ物語』マーク・レビンソン氏(2007)

  コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

 レビンソン氏は経済アナリスト。

20世紀最大の発明品の1つといわれるのがコンテナ。コンテナの海上輸送が始まったのは1956年3月のことだ。アメリカの陸運業者マルコム・マクリーンは、コスト削減と交通渋滞回避のため運賃の安い沿岸航路に目をつけ、トラックから「箱」だけ切り離して船に載せるアイデアを思いつく。2007年 刊

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コンテナ以前

   たとえば、60年にあるアメリカの製薬会社が米中西部からヨーロッパ内陸部の都市に製品を輸出した際には、約2400ドルの運賃がかかっている。・・・2400ドルの約半分は港で支払われている。・・・モノを運ぶ過程で他を圧してコストがかかるのは、積出港で船に積み込むときと、荷揚港で陸に下ろすときである。(22ページ)

コンテナが節約したもの

 

  コンテナが直撃したのは、この港でかかるコストだった。貨物で港湾労働者にかかる費用が激減したほか、保険料も安くなったし、係船料その他諸ゝの費用も切り詰められた。(23ページ) 

 

コンテナがもたらしたグローバル・サプライチェーン

国際貿易の主役は、もはや原料でもなければ完成品でもなかった。1998年のカリフォルニアに運ばれてきたコンテナの中身をもし見ることができたら、完成品が3分の1足らずしか入っていないのに驚かされるだろう。残りはグローバル・サプライチェーンに乗って運ばれる、いわゆる「中間財」である。ある場所で一部に加工を施され、次の処理をするために別の場所に送られていく。会計用語で言えば「仕掛品」に当たる。・・・世界を股にかけたこの種の生産分担方式では、頂点に位置するメーカーや小売業が最も経済的な利益を得る。モノの輸送が高くついた時代には、こんなグローバル・サプライチェーンは実現不可能だった。高い輸送コストがちょうど関税のように貿易を阻み、製造業を他国との競争から遮断し保護してきたからである。(344ページ)

 

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最大のコンテナ船は1度に20,000個輸送、

コンテナ1個当たり10百万円の商品が入っているとすれば占めて2000億円!

グローバル・サプライチェーンを成立させたもの

物流コストの削減がもたらしたグローバル・サプライチェーン。この影響の大きさを指摘するまでも無いであろう。コンテナは物流コストの低減と同時に部品の生産、組立、そして販売とすべてのサプライ・チェーンをシームレスにつないだ。コストの削減と同時にコンテナを開ければそのままの空間がやってくるという意識変革がモジュール化に貢献した事は間違いない。

 

グローバル・サプライチェーンの利益は誰が享受しているか?

コンテナの中身の2/3が中間材、グローバル・サプライチェーンの付加価値を最大享受するのはその頂点に君臨するメーカーと小売業。スマイル・カーブ現象の事である。その付加価値をコンテナそのものが享受してはいないが、モジュール化を成立させたコンテナが大きな貢献をしている事は間違いない。

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RIETI - スマイルカーブは誰に微笑んでいるか?― 豊作貧乏の罠に陥った中国 ―

蛇足

グローバル・サプライチェーンの最大の利益享受者は誰か?

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