毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

「今日は良い天気ですね!」の言語学的意味、気持ちよく活きる為に~『思考と行動における言語』 、今から75年前の古典より

思考と行動における言語

ハヤカワ氏(1906ー1992)は日系米国人の言語学者。一般意味論の最良の入門書として、刊行以来半世紀近く、広く読みつがれてきた古典的名著。翻訳第4版1985年(原著初版は1941年)

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一般意味論

 

 

言語その他の記号における人間の反応の研究であり、記号の刺激を持って、またそれを受けての人間の行動の研究である。(訳者まえがきⅳ)

 

 

言語は魔力を持つ

 

ガラガラ蛇という言葉がガラガラ蛇に遭遇した経験から頭にできた抽象と同一視されて記憶された時には、その語自体が実際のガラガラ蛇と同じ感覚を起こす事ができる。

記号と実態は別々

 

 

記号と記号で示されているものとの間には、何の必然的な関係もない。人は一度もヨットの近くに言ったことさえなくてもヨットの服を着ることができるようbに、空腹でなくとも「ハラガヘッタ」と音を出す事ができる。(26ページ)

 

 

地図は現地そのものではない

 

 

著者の主張は地図という記号は実態とは必ずがある事を認識しなさい、という事。

誤りの地図が頭に記憶されるのは①人から与えられる、②自分で読み間違えた、可能性を認識する事が重要だと警告している。

 

意味の無い会話~一般意味論を逆さまにする

 

 

黙っていないようにすることは、それ自体言葉の重要な機能であr。社会では人が何か「話すべきことがある」時にだけ話す、という訳にはいかない。・・・人はなんでもない事を話し合い、それによって友情を築き上げる。話しの目的は、使用される記号が示唆するように情報を伝達することではなく、親交の確立にある。・・・親交の確立が目的であるからには、一致が直ちに得られる話題を注意して選ぶことである。(91ページ)

 

「良いお天気ですね」

 

この会話の答は「そうですね」でしかない。時候の挨拶にどういう意味があるのか、一般意味論は教えてくれる。言語は様々な抽象レベルを持つ。お天気と言っても東京の天気なのか、日本の天気なのか、地球の天気なのか、地理的な抽象度も様々である。あるいはお天気の意味が気候一般なのか、政治情勢一般なのか、景気全般なのか分野もレベルもまちまちである。

記号の無い会話を行う事でお互いの会話のレベル感を調整する、そこに「良いお天気ですね」の意味はあった事に気づく。

蛇足

 

お互いが心地好く暮らす為に、同意できる事を投げかける

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