毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ドルを基軸通貨として「ありのまま」に見ると~書評「日本人の知らない『クレムリン ・メソッド』」

日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理

北野氏はロシア在住の国際関係アナリスト、これまでの経験から習得した独自の「世界の見方=クレムリンメソッド」をもとに、欧米一辺倒の情報とは別の「アプローチを説く。2014年12月刊

f:id:kocho-3:20150107085145p:plain

アメリカは最大の赤字国

 

 

どうし、アメリカだけは、こうして「世界最大の貿易赤字国」「世界最大の財政赤字国」「世界最大の体外債務国」であり続けることができるのか?(187ページ)

 

理由①は「ドルの還流」、であり理由②「ドルが基軸通貨」であると説明する。

ドルの還流

 

米国の高金利政策、アメリカ国債への投資、そしてアメリカ株式への投資、これらを通じて米国から貿易赤字・対外債務として国外に流出したドルが米国内に還流している。

ドルが基軸通貨

 

通常は外貨を調達して貿易相手国に支払うが、基軸通貨発行権を持つ米国FRBは、外貨を買う必要はなく、「ドルを印刷して相手国に渡す」(195ページ)だけで決済が可能となる。

基軸通貨は常に減価していく

 

ドルの還流とドルが基軸通貨である事はドルに対する需要を喚起させ、ドルの発行量が増える事によって価値は低下し続ける構造になっている。

このグラフをありのままに見ると

 

ドルは今も基軸通貨である。アメリカの赤字故にドルは今も発行量が増加、ドルは実質的に減価し続けている。【但し、為替レートは他通貨との相対的なものなので一直線に減価はしない。(!!)】私はドルが無価値になると言いたいのではない。ありのままに見ると中長期的な構造がはっきりし、短期的な相対関係がそこの負荷されるというサイクルが見えてくる。

ありのままに見る事

 

北野氏はあとがきで『「日本の自立」は「私の自立」から始まる。』(348ページ)と記す。何かに依存していると「ありのままに見る」事が出来なくなってしまう。ドルは基軸通貨故に減価する、それがありのままに見る事だと考えた。

蛇足

 

誰かの陰謀だと考えるのは思考停止

こちらもどうぞ

 

 

江戸時代には金貨と銀貨の二つが変動相場制で流通していた~いわば一国二通貨制度? - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ