世の中に隠れた真実は無いか?そしてそれは変えられないか?~ピーター・ティール氏「ゼロ・トゥ・ワン」―君はゼロから何を生み出せるか
ピーター・ティールは米国の起業家「僕たちが新しい何かを生み出すたびに、ゼロは1になる。」2014年9月刊
資本主義と競争は対極
資本主義は資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下ではすべての収益が消滅する。だから起業家ならこう胆に命じるべきだ。永続的な価値を創造してそれを取り込むためには、差別化の無いコモディティ・ビジネスを行ってはならない。
経済学の数式は19世紀の物理学の理論をそのまま模倣したものだ。経済学者は、個人と企業を独自の創造者ではなく、交換可能な原子と見なす。経済理論が完全競争の均衡状態を理想とするのは、モデル化が簡単だからであって、それがビジネスにとって最善だからじゃない。・・・ビジネスにおいて均衡は静止状態を意味し、静止状態は死を意味する。(56ページ)
それではビジネスの均衡状態の逆さまは何か?究極は供給者が1名の完全独占状態である。
完全競争とは誰もやっていない事を一人で供給し続ける時に成立する事になる。Googleは検索広告市場を独占し続けている。なぜか?シンプルな答は誰もやっていない事を始めたからである。では何が誰もやっていない事か?
究極の差別化:「賛成する人がほとんどいない、大切な要素は何か?」
もし、今既に僕たちが自然界について知りうることをすべて知っていたら、もし、すべての定説が明かされ、あらゆることが既に行われていたとしたら、あの質問への解は存在しなくなる。世の中に隠れた真実が残っていなければ、逆説的な考え方には意味がない。(130ページ)
隠れた真実はどこにあるか?
ビジネスも同じだ。偉大な起業は、目の前にあるのに誰も気付かない世の中の真実を土台に築かれる。・・・どこに秘密を探せばいいかは明らかだー誰も見ていない場所だ。ほとんどの人は教えられた範囲でものごとを考える。学校教育の目的は社会全般に受け入れられた知識を教えることだ。であれば、こう考えるといいー学校では教わらない重要な領域が存在するだろうか?(144ページ)
隠れた真実を探す動機は何か?
物理学は突き詰めていくと決定論的になる。すべては一つの均衡状態にしか帰着しない事になる。経済学は正に物理学と同じ唯物論のフレームワークの上に立っている。隠れた真実を探そうとする動機は間違いなく唯物論では捉えられない。隠れた真実があるという事は世の中に合理的でないもの、不効率なものが存在する事である。その存在にアプローチする事は賛成する人のいない、しかしそれは満足の行くミッションになる。本書のタイトルは「君はゼロから何を生み出せるか?」である。
蛇足
隠れた真実を探す事はそれを変えられると信じる事
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