毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

米国が中央銀行の無かった時代の方が長かった~中央銀行制度は資本主義に不可欠か?

ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ

 ロン・ポール :テキサス州選出連邦下院議員(共和党所属)。リバータリアニズム政治思想の旗手。2012年の大統領選挙では共和党予備選に出馬、指名獲得には至らなかったものの、インターネット上を中心にその主張が多くの若者たちの絶大な支持を受けた。原書は2009年刊。

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中央銀行とは

中央銀行とは、国家や国家連合・国家的地域・事実上独立している地域などの金融機構の中核となる機関である。通貨価値の安定化などの金融政策も司るために「通貨の番人」とも呼ばれる。(Wiki

1913年米国で連邦準備銀行が誕生

連銀が生まれたのは、今からちょうど百年前の進歩時代(プログレッシブ・エラ)と呼ばれる時代である。この1913年に、同じくアメリカに初の所得税が導入され、そのための政府機関が数多く生まれた。産業界には、自社の利益だけを守り損失を社会に押しつける風潮が蔓延し、カルテル(企業談合)を造ることがもてはやされた。もちろん大手銀行も例外ではなかった。「最後の貸し手」としての中央銀行がアメリカにはまだなかった。金融危機の際に救済してもらえないことを大手銀行の連中は不満に思っていた。救済システムがないので、破綻をするにしても、自力で再建するとしても、銀行は自ら金融危機に対応しなくてはならなかった。(36ページ)

最初の偽の好景気

通貨の膨張は1914年から始まった。このときからアメリカは最初の偽の好景気に入った。危機を受けて金利は上昇すべきだったのに、低いままに固定された。・・・「株式相場は1914年まで緩やかに上昇していた。1915年に入ると上がり一本調子になり、1915年中頃から17年後半になると急激に上げた。1918年の暮れからはさらに急激に上昇した。株価は1920年6月にピークをつけ、1915年9月のほぼ二倍、連銀が事業を開始した1914円11月に比べれば実に二倍以上になった」

古典派経済学の立場

「社会にとって理想的なお金の供給量は決められない」という古典波の経済学者の考察は本質をとらえている。・・・価格は世の中に出回っているお金の量によって調整される。新しく大量のお金が社会に注入されても、社会の利益には寄与しない。(271ページ)

米国の歴史150年間は中央銀行が無かった

米国で中央銀行が導入されたのは1913年であった事に驚く。資本主義経済は中央銀行が無くとも機能する。中央銀行市中銀行にとっては損失の発生をファイナンスできる機能ではあるがそれが無ければ資本主義が機能しない訳ではない。

再び中央銀行とは?

米国で連邦準備銀行が設立された後、急激な通貨の下落が発生している。通貨の供給量の拡大は株価上昇と同時にインフレーションをもたらす。社会の生産性が上がらない限り当然である。しかし偽の好景気を作り出す事は出来る。需要の先食いであり、バブルの発生である。一方でそれを望む人々がいる。リスクヘッジされた金融業であり、財政赤字を可能とする政府、そしててっとり早い景気回復を願う人々である。米国の連邦準備銀行の始まりは本質を見せてくれる。

蛇足

中央銀行が無くとも資本主義は機能する

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