毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

太陽は数百年単位の停滞期か?、結果は5年後に判る~宮原氏の「地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか」(書評)

地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか: 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来(DOJIN選書)

 

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2014年以降おこる事~黒点の数は減るサイクルへ

2014年を過ぎると、黒点数は数年をかけてゆっくり減っていくと考えられます。問題は、どれくらいの時間をかけてどのように減少していくかというところでしょう。もしこのんあま全体のタイミングが遅れ続けて、1996年6月に始まって2008年12月に終わった第23太陽周期と同じように、あるいはそれ以上に(黒点の減少する)周期の長さが伸びたとすると、太陽活動はますます低下していくことが予想されます。万が一マウンダー極小期と同じように太陽周期の長さが14年に近い状態になったとすると、その後数十年にわたって太陽活動が低調になってしまう可能性も否定できません。(186ページ)

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太陽の磁気はマウンダー極小期と同じ構造太陽に異変 静穏化で地球は寒冷化するのか :日本経済新聞

 

太陽活動は巨大な太陽圏を形成

(太陽の)光量自体の変化はごくわずかで安定した星に見えますが、磁場はダイナミックに変化しています。太陽表面から吹き出た磁場は、太陽系をはるかに越えて100天文単位AU)のかなたまで宇宙空間を乱していきます。・・・そのさらに遠方まで太陽の影響を運んでいるのが「太陽風」です。・・・そしてそのプラズマの流れ(太陽風)に乗って、磁場も広がっているのです。太陽から出る風が届いてる空間全体のことを「太陽圏」といいます。(74ページ)

太陽圏は宇宙線を遮っている

太陽圏の惑星はどれも、太陽圏の磁場に浸っている状態で、太陽フレアなどが起これば強い磁場の乱れの直撃を受けたりもしますが、その太陽圏の乱れが宇宙線を遮ってくれていて、太陽圏に守られている存在でもあるのです。(75ページ)

宇宙線が雲の形成を加速する?

過去のデータからマウンダー極小期黒点の減少→太陽活動の低下→宇宙線の増加までは確認されている。そしてこの時期低温が継続した事も分かっている。それではどうして宇宙線が増加すると低温になるか?有力なシナリオの一つが「宇宙線が生み出すイオンが雲の核を形成し、また雲にたまる電荷が増えることで雲の成長が促進される」という可能性である。著者は「数百年に一度の状態を、最先端の望遠鏡で観測することで、多くの物理がわかってくる」(187ページ)と指摘する。宇宙線と雲の関係が解明される事になるのかもしれない。

太陽圏という空間

太陽圏を想像してみる。100天文単位、つまりは太陽と地球の距離の100倍以上の大きさの空間は太陽の磁場の影響を受けている。我々は空間認識の範囲をリアルに想像できるという事である。太陽圏は天文学ではなく、地球と密接に関わる「宇宙気候学」で認識すべき空間なのだから。

蛇足

黒点とは太陽という巨大磁石の表面の磁石の小粒

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