毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

遺伝子レベルで細胞老化のメカニズムを知る~自分で「自分の生命」をコントロールする為に

老化はなぜ進むのか―遺伝子レベルで解明された巧妙なメカニズム (ブルーバックス)

近藤氏は細胞老化と解糖系代謝の研究者、ヒトは細胞から老化する―そのプロセスを最新の研究をまじえて解き明かす。 

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ミトコンドリア性悪説

ミトコンドリアは、恒常的に酸化ストレスを畜産するために、徐々にミトコンドリア自身の構成成分(膜タンパク質やミトコンドリアの機能低下を誘導し、機能低下した傷害ミトコンドリアは更に酸化ストレスを生み出しやすくなるという悪循環に陥るという仮説です。(128ページ)

P53ガン抑制遺伝子~解糖系代謝の増加

P53遺伝子を不活性化した細胞では、ミトコンドリアの酸素消費量が30%低下する、すなわちミトコンドリアによるエネルギー産生が30%減少することに気づいたのですその理由として、ミトコンドリアの酸素を消費する反応に関与する遺伝子が、P53遺伝子により不活性化することが原因と考えられました。(130ページ)

Sir1遺伝子~解糖系代謝の低下

エピジェニティック制御にSir1遺伝子が活性化されることは明らかになってきたのです。カロリー制御すると解糖系代謝は低下し、ミトコンドリア呼吸が促進されるのですが、代謝物質NAD(補酵素)がSir1遺伝子を活性化させることを発見しました。(144ページ)

解糖系代謝という共通項

解糖系代謝(増加)による細胞老化抑制と解糖系低下による個体老化抑制の共通点は、じつは酸化ストレスの軽減です。したがって両者を結びつけるものは、実は酸化ストレスなのかもしれません。(145ページ)

細胞老化と個体老化

老化は科学的には「個体老化とは機能低下する事」、細胞老化とは「体細胞の分裂回数の残りが減る事」と定義される。細胞レベルで酸素消費量が低下するとミトコンドリアに代り解糖系代謝が活発になる。その結果酸化ストレスが減少する。一方個体レベルではカロリー制御によりエピジェニティック制御によりミトコンドリアの効率が高まりその結果酸化ストレスが減少する。

ミトコンドリアを工場に例えると

個体に与えられるエネルギーが減少するとミトコンドリア工場のエネルギー効率を高める様に変化し、機能低下が発生しにくくなる。細胞レベルで酸素消費量が減少するとミトコンドリアの活動が低下し細胞の環境悪化が減少、細胞分裂の回数が減少する。いってみればミトコンドリアという工場の効率を高め、同時に稼働時間を短くする、この二つにより老化を遅らせようという発想だと例えられる。

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ストレス老化シグナルによる解糖系酵素分子制御の誘導する癌化バリアー形成の解明

ポイントは遺伝子レベルでの解析

今や関連する遺伝子が特定されそのメカニズムが実験によって検証される時代になっている。「腹八分目が健康にいい、激しい運動は肉体を酷使する、」ヒトが長年にわたり実感してきた知恵が遺伝子レベルで解明しつつある。

遺伝子制御?

それでは遺伝子制御により長生きできるか?本書では老化に関係する遺伝子は細胞レベルでの異常、つまりがガン抑制と関連する事を指摘する。単純に老化を抑制させるとガンが発生しやすくなる可能性もあるという事。我々が知るべきは遺伝子レベルでも解明された長年の生活の智慧を活かす事である。正論すぎてつまらないかもしれないが、、、。

蛇足

生活の中で、ミトコンドリア工場を効率的に運用する事をイメージする。

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